中国・安徽省で、遺伝子を組み換えたブタの肝臓を肝がんの患者に移植する手術が行われた。患者への肝臓の「異種移植」は世界初で、1週間で歩行できるまで回復したという。国営新華社通信などが報じた。ブタ臓器のヒトへの移植の研究は各国でなされており、臨床での利用が進むとみられる。

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 手術は安徽医科大学第1付属病院が17日、雲南農業大学と共同で行った。拒絶反応が起きにくいように遺伝子を組み換えたブタの肝臓を肝がん患者の男性(71)に移植した。他の治療法に効果がなく、本人と家族の了解を得たという。

 術後、移植した肝臓からは胆汁が分泌され、1週間で肝機能の多くの指標が正常に戻った。患者はベッドから下りて自由に動ける状態だという。

 同病院は、代謝や免疫などの機能にかかわる肝臓の「異種移植」は難易度が高く、これまでなされてこなかったとして、「医療分野で最も重要な突破の一つになる」と成果を強調した。

 世界的に臓器提供者が不足する中、遺伝子を組み換えたブタの臓器移植に注目が集まっている。米国ではすでに心臓や腎臓を患者に移植する手術が行われた。日本でも今年2月、ヒトに臓器を移植するためのブタが初めて生まれている。(上海=小早川遥平)

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