救急車が熱中症対応で逼迫する恐れがある(1月、東京都内)

国立環境研究所は、半世紀に1度クラスの極端な高温が都内で発生した場合、熱中症の患者を搬送するだけで救急車が不足するとの予測をまとめた。地球温暖化の対策の進み具合に関わらず稼働率が100%を超すという。炎天下で無理な運動を避けるなどの基本的な予防や対策の普及・啓発を進める必要がある。

予測は1985年から2014年までを基準とし、将来を21〜50年、71〜100年の2期間に分けて実施した。将来のそれぞれ30年間のある日、都内の気温がセ氏40度を超すような50年に1度クラスの高温が起きることを想定した。

社会や経済の発展具合と温暖化ガス濃度の変化に基づき、2100年時点で産業革命前と比べて気温上昇が約2度、約4度、その中間になると想定する3つのシナリオをもとに、現在の救急車の台数をベースとした稼働率を計算した。

その結果、従来は50%ほどだった救急車の稼働率が将来の全てのシナリオで100%を超え、シナリオによっては熱中症による搬送だけで今の2倍以上の台数が必要との結果を得た。

さらに気候変動が進んだ71〜2100年で最も気温が上がるシナリオでは、現在の約7.4倍の救急車が必要だと分かった。熱中症を除いた患者の搬送も考慮すると救急車はさらに逼迫する恐れがある。熱中症の予防対策や救急車を呼ぶ判断基準などの知識を広めていく必要がある。

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