八戸工業大学などは、ごみ焼却の熱を回収して魚介類や農産物の鮮度保持に使うシャーベット状の氷を製造するシステムを開発した。季節を問わずに排熱を効率的に利用でき、省エネ対策に役立つ。工業地と漁港が近接する港湾部で2030年度の実用化を目指す。
ごみ焼却などで出る熱のうちセ氏200度を下回る部分の多くは利用できないまま捨てられている。有効活用のために冬の暖房などに使う取り組みはあるが、夏は利用先が少なかった。
新システムは排熱で温めた温水を活用して氷点下の状態でエネルギーを取り出し、通年で需要がある氷のかけらと水が混ざった保冷用の氷を作る。
製氷には吸収冷凍機を使う。水が蒸発する時に周囲の熱を奪う打ち水と同じ気化熱の原理を応用した機器だ。蒸発で生じた水蒸気は臭化リチウムなどの水溶液で吸収して再利用する。だが水の温度を下げすぎると凍る問題があった。
新システムでは吸収冷凍機で使用する水に1プロパノールというアルコールを加え、水溶液がセ氏マイナス10度でも凍らない状態を実現した。最適な配合も突き止めて氷スラリーを連続して作れると確認した。
29年までに実証試験をする計画だ。まずは排熱を使う工業地と氷を使う漁港が隣接する八戸港(青森県八戸市)での利用を想定する。他の港湾部でも応用ができるとみる。研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業で実施した。高砂熱学工業と東京電機大学も加わった。
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