伊藤匠叡王は今月20日、「叡王戦」を制して藤井聡太さんの八大タイトル独占を崩し、大きな話題となりました。

伊藤叡王は29日、トップ棋士12人が争う「将棋日本シリーズプロ公式戦」のトーナメント1回戦にのぞみ、会場の仙台市の「夢メッセみやぎ」に登場しました。

対戦相手は稲葉陽八段で、2人は、集まったおよそ700人の将棋ファンを前に公開で対局を行いました。

短い持ち時間の中で激しい攻防戦となりましたが、最後は稲葉八段の攻めがつながり伊藤叡王は144手で投了しました。

対局のあと伊藤叡王は「早い段階から激しい展開になりましたが、方針を間違えて苦しくなってしまいました」と話していました。

対局を見守った60代の男性は「伊藤叡王は中盤、少し攻めがからぶったような感じがしました。またがんばってほしいです」と話していました。

小学生の子どもと観戦した40代の女性は「将棋は詳しくありませんがトッププロの対局をみることができてよかったです」と話していました。

大切にしていることば「孤高」

将棋の8つのタイトルを独占してきた藤井聡太さん(21)を「叡王戦」で破り、新たにタイトルを獲得した伊藤匠叡王(21)が公開対局のために訪れた仙台市でインタビューに応じ、「好きな将棋を追究し、これからも高みを目指していきたい」と今の気持ちを語りました。

伊藤叡王はトップ棋士12人が争う「将棋日本シリーズプロ公式戦」のトーナメントに参加するため仙台市を訪れ、公開対局を前に28日NHKの単独インタビューに応じました。

現在の心境については「タイトルをとった前と後では大きな変化はありませんが、子どものころからの目標でもあったので、獲得できたことは幸運だったと感じています」と話していました。

伊藤さんは、「叡王戦」に臨む前までは、2つのタイトル戦で藤井さんに大きく負け越していて、当時の心境について「勝つビジョンが見えなかった」と話していました。

その上で、諦めずに「強敵」に立ち向かおうと考えていたということで、「『叡王戦』までは、とにかく勝ちたいという気持ちで対局に臨んでいたが、そこから気分を変えて“見ている人が最後まで楽しめるような熱戦にしよう”とハードルを下げて藤井さんと対局をしていた。そのことが気持ちに余裕を与えていたと思う」とタイトル獲得につながった心境の変化を明かしました。

また、宮城県に来たので、牛タンを食べて帰りたいと笑顔で話す伊藤叡王に、大切にしていることばを書いてもらうと迷わずに「孤高」と書いてくれました。

これについて伊藤叡王は「『孤高』ということばは、自分の志を持って、ぶれずに高みを目指していくという意味だと理解しています。子どものころからのめり込んだ好きな将棋をこれからも追究し、さらなるタイトル獲得を目指したい」と意気込んでいました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。