テレスコープアレイ実験の検出器=東京大学宇宙線研究所提供

東京大学などの国際研究チームは、高エネルギーの宇宙線が鉄のような重い元素の原子核で構成されている可能性を明らかにした。宇宙線ごとに含まれる元素を明らかにできれば、発生源の解明につながるという。

宇宙線は天体爆発などで放出された電荷を持つ微小粒子。地球に届いて大気と衝突すると、シャワー状に枝分かれして地表に届く。粒子は非常に大きなエネルギーを持っており、2023年には244エクサ(エクサは100京)電子ボルトの粒子が観測されて「アマテラス粒子」と名付けられた。

一方、高エネルギーの宇宙線はどんな種類の粒子で構成されているかや、発生源は何かなど、分かっていないことが多い。飛来数が極めて少ないため、解析が進んでいなかった。

研究グループは米ユタ州で国際協力によって進める「テレスコープアレイ(TA)実験」で高エネルギーを持つ宇宙線を観測した。TA実験では約700平方キロメートルの範囲に検出器507台を設置して観測している。

08年からの14年間で観測された100エクサ電子ボルト以上のエネルギーを持つ宇宙線19例を調べた。宇宙線の飛んできた方角や飛んでくる際の宇宙の磁場の影響などを含めて解析すると、鉄のような重い元素が主成分である可能性が高かった。

TA実験は検出器を増やし、面積を3000平方キロメートルに拡大する予定だ。今も建設を進めており、一部で観測を開始している。今後は観測結果を増やして精度を高めるとともに、宇宙線ごとに含まれる粒子を特定できるようにするという。例えば超新星爆発によって発生した宇宙線は重い元素が含まれる可能性があり、宇宙線がどういった現象でできたかの解明につながるという。

  • 【関連記事】宇宙から謎の高エネルギー粒子 大阪公立大学など観測

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。