沿岸域に生息し、秒速1.4ミリほどの速さで動くイトマキヒトデが、速さに勝るカニを「ある行動」で捕食していることを北海道大学大学院水産科学院(函館市)などの研究グループが明らかにした。
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イトマキヒトデは10センチ前後の大きさで、国内では海岸から水深10メートルほどまでの沿岸域に広く生息する。体の裏側の中心部から外に出す胃を押しつけるようにして餌を捕食する。そんな習性から、海藻のかけらや生物の死骸を食べる「海の掃除屋」として知られる。
修士課程1年の具志堅晴人さん(23)によると、これまでヒトデが素早い生き物を捕食するとは考えられていなかった。観察を繰り返し、新しい捕食方法を発見した。
イトマキヒトデは、星形の中心部を浮かせ、5本の腕だけで体を支える「五つんばい」の姿勢に。秒速約34.4ミリと約25倍の速さで動くヒライソガニが体の下に入ると、体を下ろして覆いかぶさりカニを捕らえた。
実験では、生きたカニと死んだカニを水槽に入れて比較。五つんばい行動は生きたカニの場合に明らかに多く見られ、半数は生きたカニの捕食に成功した。
和田哲教授(動物生態学)は「ヒトデが実は捕食者としても機能していると示唆する結果。ひょっとすると、イトマキヒトデへの認識が変わるかもしれない」と評価する。論文はこちらのURL(https://www.jstage.jst.go.jp/article/pbr/19/2/19_B190202/_article)から見られる。(古畑航希)
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