宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、宇宙飛行士候補者の諏訪理さんと米田あゆさんの訓練の様子を報道陣に公開した。全日本空輸(ANA)の総合訓練施設「ANA Blue Base」(東京・大田)で飛行中のトラブルへの対処などを学んだ。2人は10月まで宇宙飛行に必要な知識や能力を身につける基礎訓練を続け、早ければ同月にも宇宙飛行士として正式に認定される見通しだ。
航空機のフライトシミュレーターを使って、コミュニケーション能力や状況把握能力を鍛える訓練に取り組んだ。東京ー大阪間を飛行中に発生した機体の不具合や目的地の天候悪化といったトラブルに対し、機長役と副操縦士役として2人で連携して適切な対応を判断した。
訓練はANAが航空機の操縦士や客室乗務員を対象に実施しているのとほぼ同じプログラムだ。国際宇宙ステーション(ISS)などでの任務に経験が生かせるとして、今回初めてJAXAが宇宙飛行士候補者の基礎訓練の一つとしてANAに委託した。
2人は23年に、米国の有人月探査「アルテミス計画」を見据えた宇宙飛行士候補者の選抜試験に合格した。米田さんは同年4月、諏訪さんが同年7月にJAXAに入り、これまで体力向上のトレーニングやISSで使われる英語、ロシア語の語学習得、小型航空機の操縦訓練などをこなしてきた。
日本での宇宙飛行士候補の選抜は09年以来、14年ぶりだった。2人はアルテミス計画の一環で月周回に造る新たな宇宙ステーション「ゲートウエー」や、月面での活動を担う可能性がある。
訓練後に報道陣の取材に応じた諏訪さんは、約1年半に及ぶ候補者としての基礎訓練が終盤を迎えることに対して「宇宙飛行士のイメージが具体的になってきて、現実味が湧いている。悔いのないように基礎訓練のうちに学べることは学びたい」と語った。米田さんは「一つ一つの訓練で今以上に成長して、認定していただける日を真摯に待ちたい」と述べた。
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