顧客の在庫整理が進み需要が上向いた(キオクシア北上工場)

半導体大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が8日発表した2024年4〜6月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が698億円の黒字(前年同期は1031億円の赤字)だった。4〜6月期として2年ぶりに最高益を更新した。顧客の在庫整理が進んだほか、人工知能(AI)需要でデータセンター向けメモリーの需要が伸びた。

売上高にあたる売上収益は前年同期比71%増の4285億円と、4〜6月期として最高だった。円安に加え、低迷していたスマートフォンやパソコンの需要が底打ちした。台湾調査会社のトレンドフォースによると長期記憶に使うNANDフラッシュメモリーの4〜6月期の価格は1〜3月期に比べて15〜20%上昇した。生成AIの普及でデータセンター向けの需要も伸びた。

営業損益は1259億円の黒字(前年同期は1308億円の赤字)だった。製品価格が上昇し、採算が改善した。同社は22年秋からNANDの減産を開始し、生産量を一時3割超減らしていたが、24年6月に稼働率を100%に戻した。25年秋には岩手県北上市の工場の新棟を稼働させる。

もっとも市況の先行きには不透明感が漂う。一部の顧客の在庫が再び増加に転じており、「需要が再び弱含む懸念もある」(大手半導体商社)という。トレンドフォースによると、7〜9月期の価格上昇率は5〜10%と、4〜6月期と比べ縮小する見通しだ。

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