公正取引委員会は22日、米グーグルを対象に独占禁止法に基づく行政処分を行ったと発表した。旧ヤフー(現LINEヤフー)とのネット広告関連の取引をめぐる独禁法違反(私的独占など)の疑いを、自主改善する計画がグーグルから提出されたため、計画の履行義務を科したとしている。独禁法に基づくグーグルへの初の行政処分となる。
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処分は同日付。グーグルとヤフーは2010年、インターネット広告分野で事業提携。ヤフーはグーグルの技術を使い、インターネット検索サイトの利用者が検索した内容に関連した広告を配信する「検索連動型広告」事業を展開している。
発表によると、グーグルは14年11月、ヤフーに対し、外部のスマートフォン向けサイトなどではグーグルの技術を使った検索連動型広告の配信をしないよう要求。ヤフーは遅くとも15年9月以降、この広告配信ができなくなった。
公取委はグーグルの要求が、市場の公正な競争をゆがめ、独禁法が禁じる不公正な取引方法や私的独占に当たる疑いがあるとみて22年に調査を開始。その後グーグルが要求を撤回したため、ヤフーは同年11月から広告配信を再開できたという。
グーグルが今月提出した自主改善計画の項目は、公取委が承認した場合を除き今後3年間はヤフーへの技術提供を制限しない▽外部専門家の定期監査を受ける▽改善計画の履行状況を3年間公取委に報告する――など。公取委が実効性を認定したことで、グーグルには履行義務が生じる。公取委は監視を続け、不履行があれば独禁法違反調査を再開するとしている。
今回の行政処分は独禁法の「確約手続き」に基づくもの。公取委は、自主改善計画の実効性を「認定」して履行義務を科し、排除措置命令や課徴金納付命令は出さない。不履行があれば認定を取り消し、調査を再開する。確約手続きは、不当な競争のゆがみの疑いが生じた際に公正な競争環境を素早く取り戻す狙いで18年末に始まった。
ネット広告はグーグルの莫大(ばくだい)な収益の源泉で、同社は日本市場でも大きなシェアを持つ。検索連動型広告では7~8割を占め、ヤフーが唯一の競合相手。グーグルやアップルなどの「GAFA」をはじめとするデジタルプラットフォーム事業者をめぐっては、各国の公取委に当たる競争当局が近年監視の目を強めている。(増山祐史、田中恭太)
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