胃がんや食道がんの治療には、患者の免疫の力を回復させてがんを攻撃する「免疫療法」の薬が広く使われていますが、なかには効果が得られない患者もいて課題となっています。
国立がん研究センターと順天堂大学などのグループは、薬の効果が低い患者は腸内細菌のバランスが崩れているという海外の研究結果に着目し、患者の腸内の環境を改善するため健康な人の腸内細菌を移植する臨床試験を今月から始めたと発表しました。
臨床試験は胃がんや食道がんと診断された患者に、「免疫療法」の薬を投与するなど通常のがん治療を行う前に腸内細菌を移植する計画で、今後3年間で最大45人を対象に安全性や有効性を確認するということです。
研究グループによりますと消化器のがんの治療に腸内細菌を使う臨床試験は国内では初めてだということです。
臨床試験の責任者を務める国立がん研究センター中央病院の庄司広和医長は「安全性などの確認とともにメカニズムの解明を進め、がんの新たな治療戦略につなげたい」と話していました。
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