国営の中国中央テレビは22日、中国が2020年に打ち上げた無人の月面探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月のサンプルを調査している中国科学院の研究チームが月の土壌から水を生成する新たな手法を考案したと伝えました。

それによりますと、月の土壌を1000度の高温で熱することで土壌に含まれる水素と酸化鉄が化学反応を起こし、その過程で発生する水蒸気を取り込むとしています。

研究チームによりますと、土壌を熱するエネルギー源には太陽光を利用するということで1グラムの土壌から最大で76ミリグラムの水が生成できると分析しています。

研究チームは早ければ2030年までに打ち上げる予定の「嫦娥8号」で月での実験を行うとしています。

中国は、2035年までに月面に科学実験や資源開発を行う研究ステーションを整備するとしていて、酸素の生成や燃料に活用できる水をどう確保するかは大きな研究テーマの1つです。

これまでは月の土壌に含まれる氷が着目されてきましたが中国としては、化学反応を用いた新たな手法をアピールすることで月面探査をめぐるアメリカとの主導権争いを優位に進めたい狙いもあるとみられます。

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