台風10号の影響で鹿児島県内では広範囲で大規模な停電が発生した。九州電力によると、ピーク時の29日朝には35市町村で約22万5千戸に達し、午後7時現在も約15万戸が停電している。多くの地域で復旧時期は見通せておらず、長引くおそれもある。

 奄美群島が中心だった停電は28日夕から県本土に広がり始め、台風が接近した29日未明に急増。鹿児島市では一時、総戸数の13.3%にあたる約4万6千戸が停電した。

 29日午後7時時点で鹿児島市は約2万9千戸に減ったが、鹿屋市ではなお総戸数の21.5%(約1万4千戸)が、枕崎市では70.1%(約9千戸)が停電している。

 九電の担当者によると、原因調査が追いつかず復旧計画作りが遅れているうえに、現場に行ってから倒木や電柱の破損など想定外の被害が見つかることもあるという。

 鹿児島市与次郎2丁目のホテルでは28日夕から停電した。フロントや階段ではロウソクで明かりを確保。エアコンが動かないため、スタッフが袋に入れた氷を宿泊客に配った。上層階では水も使えず、トイレを流すために大浴場の湯をくんでバケツで運ぶ宿泊客もいた。このホテルでの停電は29日昼前に復旧した。(安田朋起、太田悠斗)

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