基地港湾の賃貸借契約書を手にする(左から)坂井功・九州地方整備局副局長、武内市長、水町HWE社長(3日、北九州市役所)

北九州・響灘に洋上風力発電施設を建設中のひびきウインドエナジー(HWE、北九州市)は3日、国土交通省や北九州市と北九州港(響灘東地区)を建設・運用拠点(基地港湾)として使うための賃貸借契約を結んだ。HWEは2025年度中の運転開始を目指し、24年10月から風車の仮組み立ての準備を始める。

基地港湾は洋上風力発電の巨大で重い部材を扱うため、高い耐荷重性のある岸壁や組み立て・保管ができる埠頭が必要になる。北九州港の基地港湾(6.4ヘクタール)は国と北九州市が総事業費145億円で整備し、近く完成する。47年3月まで22年余りの貸借期間のうち、24年10月〜26年3月はHWEが施設設置のために独占して利用できる。

北九州港・響灘東地区で完成間近の基地港湾。洋上風力発電施設の建設・運用拠点となる(3日)

3日の契約調印式でHWEの水町豊社長は「基地港湾では風車の部材を集積し、組み立て、専用船で運んで洋上のジャケット(基礎)の上に設置していく」と工事の手順を説明した。武内和久市長は「北九州市が先陣を切って、再生可能エネルギーの主力電源化に貢献していく」と基地港湾整備の意義を強調した。

基地港湾は国内で7カ所が指定されているが、西日本には北九州港しかない。風力発電事業者と賃貸借契約を結んだのは、秋田港に次いで2港めとなる。26年度以降は住友商事を代表企業とするグループが、長崎県西海市江島沖の洋上風力発電の基地港湾として利用する見通しだ。

HWEが建設する「北九州響灘洋上ウインドファーム」は最大出力は22万キロワットで、完成時で国内最大の洋上風力発電となる。回転域の直径が174メートルとなる25基の大型風車からなる。風車を支える基礎構造を海底に固定する「着床式」を取る。

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