【ワシントン時事】バイデン米大統領は10日、岸田文雄首相との日米首脳会談後の共同記者会見で、2人の日本人宇宙飛行士を月面着陸させる方針を表明した。バイデン氏は「うち1人は米国人以外で初になる」との見通しを示し、岸田氏も「日本人飛行士が米国人以外で初めて月面に着陸できることを歓迎する」と語った。

米航空宇宙局(NASA)のアポロ計画で人類が初めて月に降り立った1969年以降、月面に着陸したのは米国人のみ。中国なども月探査に乗り出す中、日本人が世界で2番目に月面に着陸する可能性が高まった。

NASAは日本も参加する「アルテミス計画」で、2026年の人類の月面再着陸を目指している。28年以降は継続的な月での活動を計画しており、順調に進めば同年にも日本人の着陸が実現する可能性がある。ハリス副大統領は昨年12月、「20年代末までに外国人の宇宙飛行士を月面に送る意向だ」と述べていた。

NASAのネルソン長官は記者会見で「米国は独りぼっちで月面を歩かない。日本と一緒に行くことを誇りに思う」と強調した。ただ、日本人の着陸時期については「さまざまな条件に左右される」と明言を避けた。

両首脳は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がトヨタ自動車と共同開発中の月面探査車両「有人与圧ローバ(愛称・ルナクルーザー)」を米側に提供することでも合意した。月の過酷な環境に耐えられる居住性を持つ車で、将来の月探査での貢献が見込まれている。この車両は31年の打ち上げを計画している。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車が共同で開発を進める月面探査車両「有人与圧ローバ」のイメージ画像(トヨタ自動車提供)

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