グーグルはサードパーティークッキーの廃止時期を繰り返し延期してきた=ロイター

【シリコンバレー=清水孝輔】米グーグルは23日、ウェブサイトをまたいで消費者の閲覧履歴を共有する「サードパーティークッキー」の仕組みについて、2024年内としていた廃止時期を延期すると発表した。この技術を使う広告業界や、競争環境への影響を調査している規制当局との調整に時間がかかると判断した。

グーグルは23日付のブログ投稿のなかで、自社のブラウザー「クローム」でサードパーティークッキーの機能を段階的に使えなくする取り組みを25年初頭から始めると説明した。全廃する時期には言及していない。同社は当初、22年までに同機能を廃止する計画を示していたが、これまでも延期を繰り返してきた。

サードパーティークッキーは広告企業などがサイトを横断して消費者のウェブ閲覧履歴を集めるのに使う。利用者の関心や属性に応じた広告配信を支えてきた。プライバシーを侵害しているとの批判を受け、グーグルは廃止する計画を20年に表明した。

グーグルは代替策として、個人を特定できない形で関心に応じた広告を配信する「プライバシーサンドボックス」と呼ぶ仕組みを提案している。だが代替策への移行が同社に有利に働き、競争環境を損なうおそれがあるとして英競争・市場庁(CMA)が21年に調査を始めたことで計画の見直しを迫られた。

米アップルの「サファリ」など、競合するブラウザーはすでに初期設定でサードパーティークッキーの機能を全面禁止している。ネット広告に収益を依存するグーグルはプライバシー保護と広告効果の両立に苦慮している。

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