グーグルはAIの学習データの扱いを巡り欧州で風当たりが強まっている(米カリフォルニア州の本社)

【シリコンバレー=清水孝輔】英フィナンシャル・タイムズ(FT)は11日、欧州連合(EU)のデータ保護当局が米グーグルに対して調査を始めたと報じた。人工知能(AI)開発のデータ学習を巡り、一般データ保護規則(GDPR)に違反していないかを調べている。AI開発のデータ保護を巡り規制当局の風当たりが強まっている。

アイルランドのデータ保護委員会(DPC)が、グーグルが開発したAIモデル「PaLM(パーム)2」について調査している。パーム2は同社が現在の生成AIの基盤技術として搭載する「Gemini(ジェミニ)」よりも前の世代のモデルとして使っていた。

DPCはAI開発企業に対し、個人データの処理に関するリスクを認識し、GDPRを順守する必要があると指摘してきた。特に技術やデータの処理方法が新しい場合は、開発がプライバシーにもたらす影響を事前に評価するように求めている。

DPCは8月には、米X(旧ツイッター)が生成AIを開発するために欧州の投稿データ処理を停止することで合意したと発表した。DPCはXに対し、データ処理がプライバシーを侵害するリスクがあると指摘し法的手続きに乗り出していた。

米メタも欧州ではGDPRに対応するため、SNSの投稿を使ったAIのデータ学習を制限している。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は欧州の規制が「技術革新を阻害している」と批判しており、当局と対立が深まっている。

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