三菱重工業は25日、H2Aロケットの最後となる50号機の機体を愛知県の飛島工場で報道陣に公開した。機体は27日に鹿児島・種子島宇宙センターに向けて運ばれ、今年度内に打ち上げられる予定だ。

 H2Aは液体水素を燃料とする日本の基幹ロケット。2001年に初号機が打ち上げられて以降、48回のうち47回成功という高い信頼性を誇る。26日には49号機が打ち上げられる予定だ。

 50号機は全長53メートルで、打ち上げ時の高さは東大寺大仏殿(高さ48.7メートル)よりも高い。この日は、第1段エンジンや燃料タンクなどが組み合わされた部分(長さ26メートル)と、第2段エンジンなどの部分(同11メートル)が公開された。

 ロケットには、国の観測衛星「GOSAT―GW」を搭載する。気候変動の予測に役立てるため、宇宙から二酸化炭素やメタン、海面水温などを観測する計画だ。

 衛星の開発状況によっては、24年度中を予定する打ち上げが延びる可能性もある。

 10号機からH2Aの開発に携わっている三菱重工の穎川(えがわ)健二プロジェクトエンジニアは「わたしがロケットに携わってからずっとともにあったH2Aが工場からなくなるというのは感慨深いし、寂しい思いもある。打ち上げ成功を続け、有終の美を飾りたい」と話した。(佐々木凌)

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