今年のノーベル賞の発表が7日から始まります。ノーベル賞は19世紀にダイナマイトを発明したスウェーデン人化学者アルフレッド・ノーベル(1833~96)の遺言を元に、1901年に始まった歴史ある賞です。今は生理学・医学、物理学、化学、文学、平和、経済学の全6分野で贈られます。各賞の日程やその趣旨について紹介します。(時間はいずれも日本時間)
生理学・医学賞
これまでの日本の受賞者28人のうち、ここ20年余りは自然科学3賞が続いてきた。初日の生理学・医学賞は7日午後6時半に発表される。日本から選ばれれば2018年の本庶佑さん以来となる。昨年の「mRNAワクチン」の基礎技術の開発のように実用化につながった研究のほか、遺伝子や細胞の構造や働きを解明する基礎的な研究も注目される。
物理学賞
物理学賞は8日午後6時45分に発表される。これまで日本の受賞は12人と各賞の中で最多で、ニュートリノ観測や素粒子理論、青色発光ダイオードなど幅広い分野に及ぶ。21年の真鍋淑郎(しゅくろう)さんは、地球温暖化を予測する気候モデリングの業績が評価された。近年は物質の成り立ちや現象を扱う物性分野が遠のいていることから、今年は注目の分野と目される。日本の研究者も多く、受賞が期待されている。
化学賞
化学賞は9日午後6時45分に発表される。これまでの日本の受賞者は8人。最近ではリチウムイオン電池の開発で吉野彰さんが19年に選ばれた。
対象分野が幅広い化学賞でも近年の傾向として、暮らしを変えたテクノロジーや環境問題の解決につながる研究が評価されている。有機化学、無機化学、生化学など、従来の単一分野には当てはめにくい業績も増える傾向にある。
文学賞
文学賞は10日午後8時に発表される。選考するのはスウェーデン・アカデミー。トーマス・マンやヘミングウェー、「百年の孤独」のガブリエル・ガルシア・マルケスなど、名だたる作家に贈られてきた。これまでの日本人受賞者は、1968年の川端康成と94年の大江健三郎の2人。2017年に長崎生まれの英作家カズオ・イシグロ氏が受賞して話題になった。
平和賞
平和賞は11日午後6時に発表される。紛争の調停や人権活動、民主化といった幅広い分野で活躍した人と団体が対象だ。主な受賞者にはキング牧師やダライ・ラマ14世らがいる。日本人では唯一、1974年に佐藤栄作元首相が受賞した。ただ、特定の国や指導者へのメッセージ性が強いと受け止められることもあり、2009年のオバマ米大統領(当時)の受賞など、「政治的」として批判されることもある。
経済学賞
経済学賞は14日午後6時45分に発表される。1901年から続く物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の各賞とは異なり、69年に授与が始まった。スウェーデンの中央銀行が300周年を記念してノーベル財団に寄付したことをきっかけに設けられた。受賞のテーマは理論や分析に関するものが多く、歴代受賞者の過半が米国人。これまで日本人の受賞者はいない。
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