東京電力は28日、福島第一原発2号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出し作業を約1カ月ぶりに再開した。映像が確認できなくなったカメラを交換し、復旧させたが、不具合の原因を特定できていないままの再開となった。

 東電によると、28日午前9時過ぎ、原子炉格納容器までの通り道の途中にある「隔離弁」を開けた。今後、取り出し装置を格納容器の中まで押し込むという。

 福島第一原発1~3号機には推計880トンの燃料デブリがある。東電は今回、2号機から3グラム以下の燃料デブリを採取し、分析する計画。今後の取り出し方法の検討に生かすという。

 試験的な取り出しは当初、2021年に開始する予定だった。装置開発の遅れなどがあり、今年9月10日、3年遅れで作業に着手。ところが、同17日以降、取り出し装置先端のカメラ2台の映像が確認できなくなった。そのため、カメラを2台とも交換していた。

 不具合の原因はわかっていないが、東電は高放射線量の現場でカメラの電源を切っている間に、高線量により装置に電気がたまったためだと推定。再発防止策として、今後は電源を切らず、燃料デブリをつまみ上げるまで休養日を入れずに作業を続ける。取り出しはこれまで約2週間かかるとしていたが、期間は短くなる見込みという。(福地慶太郎)

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