愛知県一宮市が今年度初めに発売する予定だった災害備蓄用の飲料水から、法令の水質基準を超す細菌が検出され、原因不明のまま岐阜県内の製造会社と契約を解除した問題で、市は昨年度までに販売した6年分の水質検査結果を初めて公表した。細菌が検出された今年5月の検査結果は公表していない。

 朝日新聞の報道を受け、市は2日、2018~23年度分について市が実施した検査結果をホームページに載せた。製造会社側の検査結果は載せていない。飲料水は5年間備蓄できるため、市民から安全性への問い合わせがあったという。

  • 災害備蓄用の水から細菌 販売前に製造会社と契約解除も公表せず

 市は、製造会社側の検査と納品前の市の検査で、いずれも法令の水質基準を満たしてきたとし、「品質には全く問題ございません」と告知した。再検査は実施しないという。

 関係者によると、今年度当初に売る予定だった飲料水からは発売前の5月、市の検査で基準値を大きく超える「一般細菌」が検出された。だが、原因究明をめぐる製造会社側との協議が不調に終わり、原因不明のまま契約解除で合意。秘密保持の約束も交わしたという。5月の検査結果は「(製品が)販売前で、外には出ていない」として公表していない。

 飲料水はこれまで、木曽川の伏流水をフィルター除菌し、非加熱でペットボトルに詰めたものだったが、市は製造会社を変え、水道水を加熱殺菌してアルミ製ボトルに詰めたものに改める。品名の「おりひめ 木曽川が織りなす水」は変えず、来年1月に発売するという。(嶋田圭一郎)

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