長野県企業局は14日、再生可能エネルギー比率を高めたい企業向けに水力発電所の電力の直接販売を始めると発表した。手始めに2025年7月に稼働する「越百(こすも)のしずく発電所」(長野県飯島町)の電力について需要家を募集する。売電収入を新たな水力発電の開発に充てる計画だ。
販売先として想定しているのは、新増設された電源の再生可能エネルギーを必要とするRE100企業などの需要家。県が電力小売りの免許を持っていないため、需要家と小売電気事業者に共同で申し込んでもらう。県は需要家とPPA(電力購入契約)を、電力小売事業者とは電力需給契約を結ぶ。応募期限は12月27日。
契約期間は25年7月1日から28年6月30日までの3年間で期間中の供給電力量は約1650万キロワット時を見込む。供給先は公募型プロポーザル方式で選び、購入価格のほか使途、地域貢献の実績や計画などを評価する。公営電気事業者による新増設電源のPPAは全国初で、今後需要家の反応などを踏まえ他の新増設電源にもPPAを広げるか検討する。
越百のしずく発電所は最大出力1500キロワットで約1500世帯の電力をまかなえる。県企業局は50年のゼロカーボン達成に向けて水力発電所の新増設に取り組んでおり、25年以降30年までに越百のしずくも含め7カ所の新増設を予定している。
県企業局は水力発電所の電力をCO2フリーの「信州Greenでんき」としてブランド化し、20年から中部電力ミライズなどを通じて販売してきた。同事業では収益の一部を水力発電所の改修や新規開発に活用している。今回のPPAと合わせて信州産電力の価値向上につなげる考えだ。
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