広島大学の坊農秀雅教授やフマキラーはトコジラミの殺虫剤への耐性を生み出す遺伝子の候補を特定した。トコジラミは海外との人の往来増加や耐性の獲得を背景に、国内の被害が近年増えている。研究成果は効果の高い殺虫剤の開発につながる。

トコジラミは南京虫とも呼ばれる大きさ約5ミリメートルの昆虫で、住宅内の暗い隙間などに潜んで人の血を吸う。激しいかゆみで寝られなくなったり、皮膚をかいて傷ができたりする。繁殖すると駆除しづらい上、殺虫剤耐性を持つものも現れている。

研究チームは国内で採集したトコジラミのうち、殺虫剤の一種「ピレスロイド」への耐性を持つ個体のゲノム(全遺伝情報)を調べた。殺虫剤が効く個体と比較すると約600の遺伝子に変異があった。薬物の代謝に関わる遺伝子やDNAの修復に関わる遺伝子が含まれていた。

今後、特定の遺伝子を改変して薬剤耐性が変化するかどうか調べて、耐性に関わる遺伝子を詳細に分析する。

殺虫剤には様々な種類があり、効く仕組みも異なる。耐性に関わる遺伝子の詳しい働きが分かれば、効きやすい殺虫剤の種類や組み合わせを予測しやすくなる。坊農教授は「ゲノム情報は効果の高い殺虫剤を短期間で開発するのに有用だ」と話す。

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