「生成AI(生成人工知能)の知見が不足していた」。実在しない観光名所などの記事を、福岡県の「官民連携」をうたうサイトが掲載していた問題で、運営側のウェブ関連会社の社長はそう釈明した。サイトの記事は生成AIを使って作成されたが、実在しない観光地や既に閉園しているテーマパークを紹介していた。
社長の説明によると、生成AIでの記事作成後に人の目で実施した確認は、ネガティブな内容や犯罪、子供の危険につながるものを除外する目的で、掲載情報が事実かどうか確認する視点は不十分だった。
一方、一連のキャンペーンサイトについて、新型コロナウイルス禍で観光需要が低迷した際に「ITの力で情報発信を」との狙いで沖縄で始まり、福岡以外では生成AI記事を導入せず問題がないことも強調した。
日々進歩する生成AIを活用した情報はネットやSNSを介して誰でも利用できるが、真偽不明の内容も多い。九州大の小林俊哉准教授(科学技術社会論)は「どんな組織や個人も発信者は内容の責任が問われる。今回もAIではなく発信者の問題だ」と指摘。「AIを使う以上、できることとできないことを十分理解し、情報倫理を身につけることが重要。どんな技術も進歩とともに負の面を抱えており、AIが中身の見えない『ブラックボックス』であることを自覚せず使うことは危険だ」と警鐘を鳴らす。【長岡健太郎】
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