2040年、大都市圏の熱中症による搬送者数は今の2倍になるかもしれない。そんな予測を、名古屋工業大と海洋研究開発機構などの研究チームが明らかにした。平均気温の上昇だけでなく、高齢化も影響しているという。

 気象の変化予測から2040年のデータを504通り準備し、人口の推移や年齢構成を踏まえて1日あたりの熱中症による搬送者数を予測した。

 コロナ前の13~19年の平均と比べると、東京では2・0倍(65.8人→132.9人)、大阪では1.8倍(59.0人→105.3人)、愛知では1.9倍(54.8人→105.4人)に搬送者が増えるという。

13~19年に比べて40年の平均気温は、東京で約1・6度上昇する。人口は東京が横ばいだが、大阪、愛知は減少するとされる。ただ、高齢者の人口はいずれも増加し、搬送のリスクが高い高齢者の割合は、今より多くなるという。

 岐阜などの大都市の周辺地域も、高齢化によって搬送者が増加するとみられる。

 研究チームはこれまで、天気予報などのデータをもとに熱中症による搬送者数を予測してきた。猛暑日などでは、救急搬送態勢が逼迫(ひっぱく)するケースがあるという。平均気温の上昇で、初夏の段階から長期にわたって搬送者が多くなるとみられる。

 将来の医療態勢にかかわる問題だとして、名古屋工業大の平田晃正教授(医用工学)は「熱中症は対策によって防げる。エアコンをどう使うか、天気予報を見て対応する、といった啓発が重要になる」と話している。

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 環境省と気象庁は「熱中症警戒アラート」の今年の運用を始めた。観測点ごとに、気温や湿度、日差しなどから算出する「暑さ指数」が33以上で発表する。さらに今年からは一段強い呼びかけとして、気温が著しく高いなど、重大な健康被害が起きるおそれがある場合、環境省が「熱中症特別警戒アラート」を出す。

 名古屋地方気象台によると、4月23日発表の3カ月予報(5~7月)では、東海3県は暖かい空気に覆われやすく平均気温が高い見込みという。(木村俊介)

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