緊急時における遺伝子組み換え研究の申請手続きが見直される

文部科学省は遺伝子を操作した生物やウイルスを扱う研究について、国内で感染症が大流行した場合などの緊急時に始めやすくする。遺伝子組み換え生物の使用を規制する「カルタヘナ法」に関連する文科省の告示に、申請手続きを省略可能な要件を新たに盛り込み、医薬品の迅速な開発につなげる。

文科省の専門委員会が19日、新たな要件を盛り込んだ告示案を了承した。告示は2024年内をめどに施行される。カルタヘナ法は生物多様性を確保するため、遺伝子組み換え生物の使用を規制する法律だ。実験室などの閉鎖環境で研究する場合、遺伝子組み換え生物が外部に拡散しないよう、病原性などに基づく生物の分類に応じた防止措置をとることを省令で義務付けている。一方、扱う生物が未分類など防止措置が定められていない場合は、実験を始める前に文科相の確認を受ける必要がある。

施行する告示は、緊急時に文科相の確認を経ずに研究開発に取り組める要件を定める。具体的には、研究が①新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府の対策本部が設置されている期間中に実施される②組織内に安全委員会を設置している研究機関によって行われる③特措法が規定する新型インフルエンザなどの診断や治療、予防を目的とする――など4つの要件を全て満たした場合とする。

カルタヘナ法を巡っては、新型コロナウイルスが大流行した当初、研究機関や企業が文科相確認の対応に追われてワクチンなどの研究開発を始めるまでに時間を要したことなどを背景に、緊急時の申請手続きの見直しを求める声が上がっていた。

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