北海道黒松内町と長万部町にまたがる静狩金山跡で外資系企業が進める金鉱脈の探査を巡り、日本生態学会北海道地区会は企業に環境影響評価(アセスメント)の実施を求める意見書を提出した。
意見書によると、キンギン・エクスプロレーション社(オーストラリア)の日本法人「ジャペックス社」が試掘権を取得した地域には、環境省のレッドリストで絶滅危惧2類のクマゲラや、湿地帯を好む準絶滅危惧種のオオジシギの営巣が確認されている。朱太川などには多様な回遊魚が集まるとし、「開発計画が実施されれば、本流域が擁する高い生物多様性を著しく損なう」と指摘。掘削に伴う地下水の低下や湿地の喪失に懸念を示し、「多角的な観点から総合的な環境影響評価を実施する」よう訴えた。
意見書は19日付。鉱業権の審査を担う北海道経済産業局、地権者となる道庁にも通知した。ジャペックス社は毎日新聞の取材に「法律を守り、できる限りの環境調査と保護をしようと思っている。住民に納得いただけるようにする」と答えた。
黒松内、長万部両町では2月、ジャペックス社が1383ヘクタールの試掘権を取得。同社は試掘を始める前に両町で説明会を開く意向を示している。道内では他にキンギン社を含む外資4社の14の金山採掘プロジェクトがある。【片野裕之】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。