次期温室効果ガス排出削減目標について、経済産業、環境両省は25日、2035年度までに13年度比60%減、40年度までに同73%減とする案を公表した。両省の有識者会合で示した。新たな目標は25年2月までに国連に提出する。
日本は現在、30年度までに13年度比46%減という目標を掲げる。両省は25日の会合で、1990年度以降で最も排出量が多かった13年度を起点とし、50年のネットゼロ(排出実質ゼロ)に向けて排出量を直線的に減らしていく場合、経路の中間地点として35年度は60%減、40年度は73%減になると説明。この数値を軸に検討を進めるとした。
23年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の成果文書には、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるという世界共通の目標実現のためには「35年までに19年比60%減が必要」と明記された。先進国はこの値を上回る削減が期待されている。
COP28で決定した水準を13年度比に換算すると、35年までに66%減になる。両省の案はこれを下回っており、国内外から批判が出ることが予想される。
25日の会合で担当者は、早期の大幅削減が必要だという意見と、当面は緩やかに削減し革新的技術の実現後に大幅削減することが現実的とする意見があることを踏まえ、「どちらかに寄った経路を選ぶのは困難だ」と話した。
有識者からは「実現できる範囲の中で意欲的な目標を掲げることが重要だ」などと両省の提案を支持する意見があった一方、「1・5度目標に整合した目標を示し、それに向けて打つ手を考えていくことが大切だ」と、早期の削減強化を求める声が出た。
各国は気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、35年を期限とする削減目標の提出が求められている。国内では、エネルギー政策の中長期の方向性を示す「エネルギー基本計画」の改定作業と並行して、次期削減目標の議論が進められている。【大場あい】
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