東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、原発ADRと呼ばれる国の仲介による和解を申し立てながら東電に拒まれ、手続きを打ち切られた福島県浪江町民が国と東電に賠償を求めた集団訴訟に関連し、東電は30日、今年3月に福島地裁で和解した原告に対し、「事故を起こしたことを深く反省する」とした小早川智明社長名の文書を渡し、謝罪した。
東電福島復興本社の秋本展秀代表らが浪江町を訪れ、原告らに謝罪。これを受け、原告らが意見を述べた。篠木健一副団長(75)は「東電の(小早川)社長が出席していないことについては強い不満と憤りがある。真摯(しんし)に反省しているなら社長自ら謝罪すべきだ」と語気を強めた。
申し立てから和解までの約11年で900人以上の人が亡くなった。50代の女性は「10年前に東電が和解に応じて追加賠償を進めていれば、もっと多くの町民が存命のうちに適切な賠償を受け取ることができた。遅すぎた」と批判した。
原発事故によって一時、全町避難を強いられた浪江町は13年、町民約1万6千人の代理人となり、精神的慰謝料が不十分だとして原発ADRに和解仲介を申し立てた。翌年和解案が示されたが、東電がたびたび和解を拒否。手続きを打ち切られた町民が18年に国と東電を提訴し、今年3月に原告と東電は和解した。国への訴えは取り下げられた。
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