自然あふれる山口市徳地で抱える放置竹林の問題をメンマ作りで解決を図る取り組みが進んでいる。中心人物の武石智絵さん(49)は「竹は毎年育ち、ボランティアの力で解決するにはあまりにも荷が重い。特産品として新規雇用をもたらし、地域活性化につながれば」と意気込む。
武石さんは、徳地の伐採業「樹(いつき)」で働く。2022年春から純国産のメンマ生産に携わる。23年度は約1.5トンを生産し、山口市を中心に10店舗以上で販売している。今年度は約5トンを生産目標とした。
4年前、結婚を機に大阪から移住。小川に架かる橋に薄紫色の花が覆う「愛のふじ橋」や棚田など美しい自然にひかれた。「この原風景を次世代に残したい」と放置竹林の問題解決に取り組んだ。
国立研究開発法人・森林総合研究所によると、放置竹林は▽景観に悪い▽植物種の多様性が失われる▽イノシシやシカなどの獣害が拡大する――などの懸念がある。「地域に元気がでそうなメンマづくりで解決できれば」と考える。
背丈くらいの高さになった「タケノコ以上、竹未満」で食用にも建築資材にもならない幼竹から作る。皮をむき、穂先などをカット。硬くなる前の幼竹だからできる加工方法だ。その後、大きな釜で30分から1時間ほどゆでた後、漬物だるに竹と塩を交互に入れた。約1カ月漬けると、塩抜きや味付け加工などができるようになる。
武石さんは地域の輪に感謝している。作業で使う古新聞の提供を受け、雇用創出につながる関係者を紹介されたことも。そして、仲間と楽しそうに竹を切っていた。「放置竹林をなんとかしたいという思いで人とつながり、解決への道筋が少しずつ見えてきた」と、笑顔の広がりも実感している。【福原英信】
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