ティックトックを巡る対立が法廷闘争に発展した=AP

【シリコンバレー=清水孝輔】中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を規制する法律が米国で成立したのを受け、運営会社は7日、新法が表現の自由を保障する憲法に反するとして米政府を提訴したと発表した。TikTokを巡る対立は法廷闘争に発展した。

TikTokの米国事業の運営会社と親会社である中国のネット大手、字節跳動(バイトダンス)が首都ワシントンの連邦控訴裁判所に提訴した。運営側は訴状で「TikTokを禁止するのは明らかに違憲だ」と主張した。

米国では4月にTikTokを規制する法律が成立した。原則270日以内にTikTokの米国事業を中国資本から分離するか、サービスを停止するかを求めている。運営会社がどちらかを選べるため、TikTokの禁止には当たらないというのが米議会側の考えだ。

一方でTikTok運営側は期限内の事業分離について「商業的にも技術的にも法的にも不可能だ」と訴えた。「現実的には選択肢がない」と反論し、事実上TikTokの「閉鎖」を迫る法律だと主張した。

TikTok運営側は訴状で、新法について違憲だと主張する根拠として米国憲法の修正1条を挙げた。修正1条は、議会が表現の自由を制限する法律をつくることを禁止している。今後の法廷闘争では表現の自由が大きな争点となる見通しだ。

米議会側は安全保障上の懸念を理由に新法を通過させた。TikTok側は利用者のデータ保護や外国政府からの影響を防ぐ対策を講じてきたと説明し、議会側の主張は根拠が不十分だと訴えた。

TikTokを巡っては売却に関する観測も出ている。米メディア「ジ・インフォメーション」は4月、運営側が売却を含めた選択肢を検討していると報じた。バイトダンスは直後に「ティックトックを売却するいかなる計画もない」と否定するコメントを出した。

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