政府は21日、環境政策の大方針を6年ぶりに改定した「第6次環境基本計画」を閣議決定した。人類の活動が地球の限界を超えつつあるとし、2030年ごろまでの選択が、数千年先まで影響を及ぼす「勝負の10年」になると位置づけた。経済社会システムの大きな変革が必要だとした。

 この計画は1994年につくられ、改定は5回目。今回は、深刻化する気候変動や生物多様性の損失などを背景に、スウェーデンの環境学者ヨハン・ロックストローム氏が提唱する、地球の状態を示す概念「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」を超えつつあると指摘。「環境収容力を守り、環境の質を上げることによる経済社会の成長・発展」という文言を盛り込んだ。

 環境省によると、これは地球や生物などの自然資本の保全を基盤にして、経済活動を営む考え方だという。これにより、生活に高い質をもたらす成長を期待する。これが持続可能な社会の構築につながるという。

 国内外で直面している危機として、2023年は世界の平均気温が産業革命前より1.45度上昇▽国内の熱中症の搬送者数は年間4万人超▽世界のプラスチックごみの量が60年までに19年比で3倍と推計▽クマによる人身被害が長期的に増加傾向で、23年に最多▽公共水域や地下水の一部地点でPFASが暫定目標値超過――などを列挙した。今後の政策は「利用可能な最良の科学的知見に基づき、取り組みのスピードとスケールの確保を図る」とした。(市野塊)

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