【シリコンバレー=山田遼太郎】米スタートアップ企業のスケールAIは21日、米アマゾン・ドット・コムや米エヌビディアなどから10億ドル(約1550億円)の資金を調達したと発表した。人工知能(AI)が読み込みやすい形式にデータを整える役割の企業だ。生成AIの開発を支えるインフラに資金が集まっている。
米メタのほか、米インテルと米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のベンチャーキャピタル(VC)部門も投資した。半導体やAI分野で競合するテクノロジー企業が相乗りする形となった。VC大手や投資ファンドも出資に参加した。
スケールAIは企業価値が138億ドルと、円換算で約2兆円に上ると明らかにした。生成AI開発のインフラを担う企業に投資家が注目し、資金が集まっていることを象徴する。
同社は2016年の設立。テキストや画像、動画などのデータに注釈を付ける「アノテーション」や、タグ付けをする「ラベリング」のサービスを提供する。AIが学習できる形にデータを下処理する工程にあたる。こうした作業には契約社員など多くの人手を使うとの指摘もある。
もともと自動運転分野向けにサービスを始めた。生成AIの開発が進むなかで利用企業を広げている。米オープンAIや米マイクロソフトも顧客だ。スケールAIは「主要なAIモデルのほぼ全てにデータを供給している」とする。
生成AIの基盤となる技術の「大規模言語モデル」はインターネット上の膨大な情報を学習している。性能をさらに引き上げるには、質の高い学習用データを大量に確保することが必要だとみられている。
AIに学習させるデータはやがて不足するとの見方もある。アレクサンドル・ワン最高経営責任者(CEO)は21日の米CNBC番組で「データがAI開発のボトルネックにならないようにする」と話した。
生成AIの普及でデータ整備の重要性は高まる。同日には米コアクティブAIも3000万ドルの調達を発表した。同社は人手に頼らず、システムが自動で画像や動画を分類するサービスを手がけている。
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