中国でGEELYの名で乗用車を販売している吉利汽車は傘下にボルボを持っており、ほかにも「LYNK&CO」や「Zeekr」などよりプレミアムなブランドを展開している。今回、GEELYが日本でサーキット試乗を行ったのでレポートしよう。

文:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生/写真:中島仁菜

■グローバルで売れ筋カテゴリーとなるミドルSUVに対するGEELYの回答

GEELY星越L。どことなく欧州車を思わせるフロントマスク

 今回、試乗した星越LはGEELYブランドのミドルSUV。ボディサイズは全長4795×全幅1895×全高1689mm、ホイールベース2845mm。国産SUVでいえば全長4600×全幅1855×全高1695mm、ホイールベース2690mmのRAV4よりもひと回り以上大きいサイズだ。

 そのパワーユニットはセダンの星瑞Lと同じく直4、1.5Lターボエンジン(最高出力165ps/最大トルク25.5kgm)にモーター(最高出力135ps/最大トルク32.0kgm)を組み合わせたFFのSUV。

SUVの星越L(左)とセダンの星瑞L(右)。どちらもボルボのデザインテイストが反映されている

 サイズ的には日本での売れ筋となるミドルSUVカテゴリーのなかでもやや大きめのサイズとなるが、RAV4やフォレスターなど強豪モデルがひしめくなかでのラインナップとなっている。

 エクステリアデザインはセダンの星瑞Lと同様、傘下に持つモダンなボルボデザインを継承したもの。中国車というよりもボルボ直系デザインだということが実車を目の当たりにして改めて実感できた。

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■試乗では星越Lの剛性を実感

星越Lのインテリア。ダッシュボードで左右に広がるワイドディスプレイが特徴的

 さて、今回はクローズドコースとなるつくばサーキットでの試乗。そのなかでもメインとなる「コース2000」でのテストドライブだが、パイロンが各所に設置され、あまりアクセルを踏めないシチュエーションになってはいたものの、インプレッションをお届けしたい。

 まず、星越Lを走り出してみて感じたのはその圧倒的なボディ剛性感だ。まずは助手席に座ったGEELY側のインストラクターの指示どおりに走行したのだが、最初に差し掛かったスラロームエリアでハンドルを切っていくと、星越Lはそのイメージどおりにスムーズにスラロームをクリアしていく。

試乗した実感はボディ剛性の高さがしっかり感じられるというもの

 その後、コース2000でのストレートにさしかかり、急制動を試すようにGEELY側のインストラクターに指示を受け、その指示どおりに100km/h以上の高速からフルブレーキを敢行。しかし、強固な星越Lのボディは微塵も急制動時のネガを感じさせなかった。

パワートレーンは直4、1.5Lターボにモーターを組み合わせたハイブリッドを採用

 今回のつくばサーキット試乗会で、セダンモデルであるGEELY星瑞Lにも試乗してみたのだが、さすがに車高の低い星瑞Lのほうにハンドリングについては軍配が上がる。モデルとしての特性が違うので当然ではあるのだが。

■今後、日本市場への導入は果たしてあるのか?

星越Lは中国国内で約490万~520万円で販売されている

 しかし、車高の高い星越Lもそのポテンシャルの高さについてはつくばサーキットでの試乗で充分に感じることができた。中国国内での星越Lの価格は23万9700~25万3700中国元(約490万~520万円)。今回の試乗で感じたかぎりでは価格以上のバリューがあるように感じたのが正直なところ。

サーキットのようなクローズドコースではなく、やはり公道でのドライブフィールも気になってくるところ

 あとはリアルワールドとなる公道での試乗が気になってくる。路面状況の悪いようなシーンでの乗り心地で星越Lはどのような身のこなしを見せるのか。

 目の肥えたユーザーがひしめいている日本のクルマ市場だが。GEELYが今後、日本市場に参入するとのアナウンスはいまだにない。これだけのモデルを中国国内で販売している同社は、日本のユーザーも気になってくるようなモデルをLYNK&COやZeekrブランドにも投入してきそうだ。

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