ホンダの大型アドベンチャーモデル「CRF1100Lアフリカツイン」シリーズがマイナーチェンジを受け、2024年3月21日より発売されていますよね。
新型モデルでは、エンジンの最大トルク向上やホイールなどを変更したほか、フロントスクリーンにバイオ由来のプラスチック製を採用。しかも、その新素材は、エコなだけじゃなく、ライダーの快適性向上に貢献したり、より多様なデザインを可能とする優れモノ。今後、さまざまなホンダ製モデルのスクリーンへ採用する予定だといいます。
そんなホンダの新スクリーンを、自動車関連の技術展示会「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA(2024年5月22日〜24日・パシフィコ横浜)」で取材してきました。

  文/平塚直樹 Webikeプラス  

CRF1100Lアフリカツインの2024年モデル

 オンロードはもちろん、悪路走行も含めた幅広いフィールドでのツーリングに最適なモデルがCRF1100Lアフリカツインです。ラインアップには、スタンダード仕様の「CRF1100Lアフリカツイン<s>」、電子制御サスペンション仕様の「CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES」を用意。

 また、各タイプには、MT仕様に加え、クラッチ操作と変速操作を自動化しオートマチック車のように乗れる「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」仕様も設定することで、豊富なバリエーションを誇っています。

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 その2024年モデルでは、1082cc・直列2気筒エンジンの圧縮比やバルブタイミングなどを変更し、最大トルクを105N・m(10.7kgf-m)から112N・m(11.4kgf-m)へ向上。

 また、CRF1100Lアフリカツイン<s>には、前後ホイールに、チューブレスタイヤとチューブレスタイヤ用スポークホイール、CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツESでは、19インチのフロントホイールを新装備するなどで、足まわりも強化しています。

 加えて、フロントスクリーンを変更。新たに「デュラビオ(DURABIO)」という環境に優しいバイオ由来プラスチック製を採用しています(2輪車用透明フロントスクリーンで世界初)。また、CRF1100Lアフリカツイン<s>用スクリーンには、5段階の高さ調整機構や新デザインを採用しています。

 

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 なお、新型モデルの価格(税込み)は、149万円〜187万円です。

     

トウモロコシや小麦などを原料とする素材

 CRF1100Lアフリカツイン・シリーズでは、従来、フロントスクリーンに、バイク用としては一般的なポリカーボネイト樹脂板を使った製品を採用していました。

 一方、新型モデルでは、前述の通り、デュラビオという素材に変更したといいます。これは、三菱ケミカル・グループが開発したもので、再生可能な植物由来原料「イソソルバイド」を用いて作られるバイオエンジニアリング・プラスチック(強度と耐熱性に優れたプラスチックの総称)のこと。

 

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 ちなみに、デュラビオの原料となるイソソルバイドは、トウモロコシや小麦など植物由来のデンプンや糖から作られる化合物で、利尿薬などの医薬品の原料でもあるそうです。つまり、新型CRF1100Lアフリカツインのスクリーンは、もともとトウモロコシや小麦などの原料から作られているということですね。

 メリットは、まず、石油を原料とするポリカーボネイト樹脂板からデュラビオに素材を変えることで、石油の消費量を削減できること。また、原料となる植物が成長過程で二酸化炭素を吸収するため、温室効果ガスの低減にも貢献できるのだそうです。

 しかも、デュラビオは、高耐候性、耐傷付き性、透明性などにも優れていることもメリット。つまり、雨風などに対する強度が高く、より傷付きにくく、さらに前方を見やすい仕様になっているということですね。

 

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スクリーン付き新型モデルのデザインにも期待!

 ちなみに、ホンダでは、この新素材に合わせて、スクリーンの成形方法も変更。従来のホットプレス成形からインジェクション成形という手法に変えたといいます。

 そして、このインジェクションという成形方法を用いたバイオ由来プラスチック製スクリーンは、今までのハードコート付きポリカーボネイト樹脂板と同等以上の透明度を実現。しかも、形状の自由度は、従来製品より高くなっているといいます。

 さらに、形状の自由度が上がったメリットを活かし、CRF1100Lアフリカツイン<s>に採用した新型スクリーンなどでは、より防風性などをアップ。結果的に、ライダーの快適性向上に貢献しているといいます。

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 ちなみに、会場のホンダ担当者によれば、「形状の自由度が高いということは、デザインの制約も少なくなる」とのこと。つまり、よりカッコいいデザインのスクリーンなども作れるのだといいます。

 例えば、スーパースポーツ系の新型モデルに、MotoGPマシン「RC213V」風デザインのスクリーンを装備することも可能ということですね。また、ツアラー系の新型モデルなどでは、より走行風を受けにくい形状を採用することで、ロングツーリングなどでの疲労度なども軽減してくれそうです。

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 ホンダでは、今後、フロントスクリーンをはじめとする多様な部品の素材に、デュラビオを使うことを予定。さまざまなモデルに拡大していくといいます。

 「エコ」「かっこいい」「快適」という3拍子揃ったスクリーンなど、より高機能な部品を備える新型モデルの登場に期待したいですね。

 

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