路線バスでの移動といえば普段の通勤や通学だが、バス旅となると景色のいい場所や眺望の良いスポットを巡りたい。そんな風景を求めて路線バスに乗車した。日本一の景色を見ることができるのか、命の洗濯になるのだろうか。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■変わる沼津駅バスターミナル
今回のバス旅は静岡県沼津市からスタートする。筆者も何度となく訪れているが、今回も路線バスに乗車する。沼津駅南口には東海バス、伊豆箱根バス、富士急シティバスの3社が乗り入れている。2021年4月に乗り場を変更して方面別にして、案内表示も統一された。
これにより利便性が格段によくなった。さらに2021年末には沼津駅南口にデジタルサイネージを設置し、駅からバスターミナルに向かう前に、乗りたいバスがどこから何分に出発するのかが一目で分かるようになった。
今回乗車するのは3番乗り場から東海バスオレンジシャトル西浦線である。駅前のバスターミナルに向かうと、既にバスが停車していた。行き先表示には「富士山ビューライン 木負(きしょう)」と書かれている。早速乗車して窓側の座席を確保した。
■絶景かな!
発車時刻になり、バスは出発した。東海バスオレンジシャトル西浦線は沼津駅を出ると市内の商業地や住宅地を抜けて、沼津市南部にある内浦地区、西浦地区へ向けて走る。途中の沼津御用邸記念公園やマリーナが集まる獅子浜を抜け、20分ほど走れば右手に海が見えてくる。
その後は江浦湾、内浦湾を見ながら、後方には富士山を望むことができる。まさに日本一の車窓と言っても過言ではない絶景が広がる。乗車日は平日で筆者を含めて数人しか乗車していなかったが、週末には多くの乗客で混雑する。
■富士山!
約45分走ると、バスは内浦地区にある「伊豆三津シーパラダイス前」バス停に到着し、筆者は他の数人とともにここで下車した。目の前に伊豆三津シーパラダイスという水族館があり、最寄りバス停となっている。
駐車場横には伊豆箱根バスのバス停も設置され、伊豆箱根鉄道の伊豆長岡駅までバス路線が繋がっている。ここで富士山を満喫するのももちろんオススメであるが、今回はもう少し先まで向かってみよう。
■オンデマンドで効率よく回る!
先へ向かうには前述の路線に乗車すればいいが、若干の注意が必要だ。以前は沼津駅からこの先の内浦から西浦地区、そして江梨地区、大瀬岬までバス路線があったのだが、2021年3月末をもって江梨~大瀬岬間が廃止となった。また江梨まで向かうにもダイヤ改正により現在は午後に沼津駅を出発するバスでないと向かうことができなくなった。
先ほど乗車したバスも行き先は「木負」となっていたが、そこは西浦地区の少し手前だ。さらに先へは徒歩かタクシー、あるいは予約制の乗合タクシー「ふじみgo!」が運行されている。ワゴンタイプのタクシーで、1日最大7往復で予約のあったダイヤ・区間のみ運行を行うシステムだ。
通常のタクシーに乗車するよりも割安で、運行ルート上であればどこからでも乗降可能だ。決まった時刻表があるので、その2~3時間前までに電話で予約する流れだが、バスとうまく組み合わせれば効率よく移動できるので積極的に利用したい。ちなみに沼津市民は割引運賃で乗車可能だそうだ。乗車自体は観光で訪れた県外在住者でも可能なのでダイヤを見てうまく活用したい。
■タクシーもラッピング!
今回は時間が合わなかったので、伊豆三津シーパラダイスから西浦まではタクシーを利用した。沼津市の内浦といえばアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台にもなった場所で、現在でも絶え間なく聖地巡礼にファンがやってきている。
その作品の1つ「幻日のヨハネ」デザインのラッピングタクシーに乗車した。運転手から快く了解を得てタクシーの撮影も完了した。
■住んでいる人がうらやましい!
西浦で昼食を取った後は沼津市内へ戻る。しかし沼津駅方面へ向かうバスがない。朝と夕方のみの設定で、10時~14時台にバスはない。「木負農協」バス停まで行くと始発の沼津駅行きがあるので、徒歩で向かうことにした。
平沢には「らららサンビーチという人工の海浜施設があり、夏は海水浴場として観光スポットになっている。この時期はまだ海開き前なので人影はなかったのが幸いして海越しに綺麗な富士山を眺めることができた。普段から富士山を見ているわけではないので、絶景を目の当たりにすると、居住者がうらやましい。
沿岸沿いに富士山を見ながら30分ほど歩き、なんとか「木負農協」バス停までたどり着いた。幸いバス停にはバスが停車していて、時刻表を確認してみると、数分で発車というところだった。苦労して歩いたので、ここからはバスで楽に沼津駅まで戻ることにした。
■絶景で命の洗濯なるか?
乗客は筆者1人だけである。帰りも晴天の下で駿河湾の景色と素晴らしい富士山を堪能できた。徐々に人が増えていき、終点の沼津駅に到着する頃には立席が出るほど混雑した。1時間弱の運行を終えたバスは回送となり、ロータリーの向こうへと消えていった。
今回は沼津駅から内浦・西浦を巡るバス旅をお届けした。日本には各地に絶景があり、それぞれに魅力がある。特に富士山の眺望は右に出るものがないほどの素晴らしさだ。
筆者が沼津に行った際には内浦、西浦から海越しの富士山を見るが、何度見ても飽きることのない、ここでないと見れない景色だ。そんな絶景をバスの車窓から眺め続けられるのはぜい沢の極みである。四季折々に見せてくれる日本一の風景を見て命の洗濯をしてみてはいかがだろうか。
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