教えてもらっても実地ではあまり役に立っていないと感じることは意外と多いものだが、逆に「なぜこれを教えないの??」ってことも多々ある。また、教則本には載っているけど、実際に体を動かすなりしてしっかりとやってないからイマイチ理解してないってこともありますね。

文/山口卓也、写真/写真AC

■トラブル時に高速道路でやむを得ず停車しないといけない時の注意点

ひと昔前は任意だったが、1994年の道交法改正により、高速教習は正規教習に組み込まれた。しかし、緊急事態を体験することは不可能なので、実際に現場に遭遇した時に冷静に対応することができるかというと……

 そもそも高速道路上での停車は道路交通法で禁止されている。しかし、事故や故障でやむを得ず停車しないといけない時、あなたは正しい手順を踏むことができるだろうか?

正しい手順

1.ハザードランプを点滅させてクルマを路肩などの安全な場所に停める 
2.同乗者がいる場合はガードレールの外側に、さらに自車より後方など安全な場所に避難させる
3.自車の50m以上後方に三角停止表示板を置き、その手前に発煙筒を置く
(三角停止表示板などの停止表示器材の車載は必須となっている)
4.運転者自身もガードレールの外側、さらに自車より後方に避難する
5.安全を確保しつつ、非常電話または携帯電話で救援依頼をする

 このような手順だが、まずは自車に停止表示器材は積んであるか? 避難場所はガードレールの外側かつ自車より後方か? は重要ポイント。

 道路交通法では、停止表示器材を積まずに高速道路を走行しても違反とはならないが、停止時の表示義務はある。

 かなり矛盾していると思うが、万が一のことを考えれば必ず積んでおくべきだ。表示せずに停止していると表示違反となり、違反点数1点+普通車で反則金6000円となる。

 また、ガードレールの外側かつ“自車より後方に避難”することも重要。ガードレールの外側ではあるが自車の前方に避難していると、停止している自車が追突された時に事故の巻き添えとなることが考えられ、実際に悲惨な事故は起きている。

 高速道路上でこのような教習を行うことは非常に難しいため手順のみを習うだろうが、どの手順も絶対に間違ってはならないことは理解できるはず。

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信号機のない横断歩道に歩行者がいる時は必ず停止すること

「信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場合、クルマは必ず一時停止しなければならない」ことは多くのドライバーが知っているはず。

 しかし、2023年8〜9月にJAFが全国の一時停止率を調査したところ、全国平均は45.1%だった。かつてと比べるとずいぶん減った! といえるが、それでも約55%ものドライバーが一時停止していないという事実! ここ数年、この“横断歩行者等妨害等違反”でキップを切られる人は激増しているというのに……。

 ちなみにこれに違反すると、違反点数2点+普通車で反則金9000円である。

 教習中、歩行者がいるのに一時停止しないで横断歩道を進むと一発でアウト! なので、しっかり教わっているはずなのにいつから忘れてしまったのだろう。

「一時停止は知ってたけど、急に横断歩道が見えたので停止できなかった」というなら、横断歩道の手前おおむね50mと30mにある菱形の“ダイヤマーク”の意味、“歩行者優先”もあわせてしっかり教えるべきだろう。

 この意外と知らない人だらけのダイヤマークは、この先に横断歩道または自転車横断帯があることを示しており、運転中にこれを見たら「この先にある!」と思って必ず速度を抑えてほしい。

■これこそ大事! 給油に関すること

給油マークの横にある三角マークが右を向いていたら給油口は右側に、左を向いていたら給油口は左側にある。自分のクルマではない時に、「どっちだっけ?」と思ったらこれを思い出してほしい

 クルマに少しでも詳しい人なら間違えるはずのない燃料の入れ間違いだが、自身の乗る“軽”自動車に軽油を入れてしまうトラブルはけっこうある。

 近年、セルフで給油するスタンドが増えており、2022年3月末の調査では全ガソリンスタンドに占める割合は37.3%。多くは夜間も給油できることから、今や自分のクルマに給油できることはドライバーとして必須項目といえるだろう。

 しかし、そもそもガソリンスタンドに書いてある油種は、レギュラー、ハイオク、軽油とあり、自身の乗る軽自動車に「私のは軽だから」と軽油を入れてしまうのもわからないでもない。

 また、安価なクルマなので、「最も単価が安いから……」という理由で最も安い燃料である軽油を入れてしまう人、「安全に給油しなければ」と緊張のあまり油種を間違えてしまう人もいるという。

 それなのになぜ教習所で燃料の入れ方(入れ方を教えるなら、油種にも言及するはず)を教えないのか?

 今やセルフスタンドなんて普通だが、かつては有人スタンドのみだった。そのため教習所で習う教習内容もこの頃のまま……というのがその理由。

 教習所で給油の仕方など給油に関することも教えてくれれば、油種、その確認方法や入れ方、燃料残量警告灯のそばの給油マークに付いている三角の矢印マークがなんなのか? などもわかるというのに……。

■ほかにもきちんと教えてほしいこと

 運転していると、「習ってないかも……」なことはけっこうある。

例えば

・渋滞時は“ファスナー合流”が推奨されていること
・慣習的に使うパッシングの意味(ありがとう、お先にどうぞ、先に行きたい、前方に異変あり、ハイビームだよ……など)
・慣習的に使うハザードランプの意味(ありがとう、バックします、渋滞最後尾……など)
・慣習的に使うクラクションの長さの意味(ありがとう、青信号になりましたよ、危ない……など)

 クラクションは道路交通法第54条で「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ない時は、この限りでない」とされており、本来は「鳴らさない」が原則。だが、慣習的に使われているのも事実だからだ。

 しかし、運転していると「アレって何の意味かな?」と思うこともあるだろうし、「Aの意味」と「Aと真逆の意味」の場合も(地域によっての違いも)あるので、知っておきたいと思う人は多いはず。

 安全運転に関することはもちろん、「絶対に覚えておくべきこと」「運転時に知っておくと役に立つこと」なども、教習所でしっかり教えてもらえるとありがたいと思うのだ。

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