日産901運動を象徴するモデルとしてスポーツモデルがR32スカイライン&GT-Rだとしたら、サルーンはのちの初代シーマを生んだY31セドリック/グロリアだろう。スポーツグレードの「グランツーリスモ」を擁したY31に注目してみた。
文:ベストカーWeb編集部/写真:池之平昌信、日産
■901運動を受けて走りに振ったスポーティなスタイルに
1987年6月にFMCを受けて誕生したY31型7代目セドリック/8代目グロリアは歴代セド/グロのなかでもエポックメイキングなモデルだった。
俗にいう「日産901運動」のさなかに開発された上級FRサルーンであったが、若々しい端正なプロポーションを持ち、特にハードトップモデルはよく売れていた。実際、セドリックとグロリアを合算した販売台数は先代モデルとなるY30型の約33万3000台を上回り、約41万台を記録していた。
Y31型セドリック/グロリアは4ドアセダンと4ドアHTを展開。そのエクステリアデザインは先代Y30型の外観を昇華させながら全長を切り詰めてスポーティなものとなった。HTはセンターピラーのないセドリック/グロリア最後のモデルとなっている。
ボディサイズは全長4620×全幅1695×全高1400mm、ホイールベース2730mmとY30型の全長4860×全幅1720×全高1425mm、ホイールベース2730mmから大幅にコンパクトになっている。このあたりは同じ901運動の象徴ともいえるR32スカイラインとその先代モデルにあたるR31スカイラインとの関係に近いものにも思える。
ちなみに最近、映画で復活した『あぶない刑事』シリーズにもマスコットレスのボンネット仕様となるY31セドリックグランツーリスモが登場していた。
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■スポーツサルーンとして「グランツーリスモ」誕生
さて、何といってもこのY31セドリック/グロリア最大のハイライトといえば、走りのグレードである「グランツーリスモ」が設定されたことだろう。そのパワートレーンには日産としては初となるセラミックターボとなるV6、2LDOHCターボのVG20DETとNAのVG20Eを搭載。
このVG20DETはデビュー当初、レギュラーガソリン仕様で最高出力185ps、最大トルク22.0kgmだったが、1989年6月のマイチェンでハイオクガソリン仕様に変更された。ターボの軸受けがボールベアリング式に変更され、インタークーラーも装着。その結果、最高出力は210ps、最大トルクは27.0kgmにまで向上していた。
また、マイチェン後の後期型からは世界初の電子制御式5速AT仕様となったことも注目されるポイントだ。
そんなグランツーリスモが評価されたのは高級サルーンらしからぬスポーティなハンドリング。当時の直接的なライバルだったS130系8代目クラウンがよりサルーンらしさを前面に押し出していたのに対し、Y31セドリック/グロリアのグランツーリスモはまるでGTカーのような走りをアピールしていた。
グランツーリスモはこの後、モデルチェンジをしたY32型、Y33型までセドリック/グロリアのスポーツグレードとして継承。セドリック/グロリアを象徴するグレードを生んだモデルとしてY31型の功績は非常に大きかったと言えるだろう。
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