今でこそシティコミューター的モデルに注目が集まりつつあるが、それを21年も前に市販化したのがスズキであった。その名もツインで当時プリウスですらそこまで売れていなかった時代にハイブリッドも設定するなど、かなり本気仕様。ちょっと時代が早すぎたのかあまり売れず約3年で引退となったが、これ今ならかなり運命が変わってたんじゃないか!?!?

文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部

■装備も超絶簡素だったけど、こういうのだ求めてんのは!!!

内装も超絶シンプル!! もちろんエアバッグは装着

 近年の軽自動車は上級移行が目覚しく、下手なコンパクトカーよりもよほど装備が充実しているモデルも珍しくなくなってきている。もちろん、それに合わせて価格も上昇しており、オプション含めて乗り出し300万円を超える、なんてことも実際にあり得る話となっているのだ。

 しかし、軽自動車は身近な存在で安価に買える近所のアシという側面も持っていたハズなのだが、気づけば商用モデルを除けばそういったモデルはアルトかミライースのエントリーグレードしか存在しなくなっている。そんな今こそその価値を再評価したいのが、2003年にスズキがリリースした「ツイン」というワケである。

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■エアコンすらなしの男前仕様!! MTのみのホンキ仕様

ボディ同色のホイールキャップがイイね!!!!!

 ツインの祖となるのは1999年に開催された第33回東京モーターショーに参考出品された「Pu3 コミュータ」というコンセプトモデルだ。

 当時はガソリン、ハイブリッド、BEVと3つのパワートレインを搭載することができるスクーター感覚の四輪車という触れ込みだったが、エクステリアのデザインはほぼ市販版のツインのままとなっており、その完成度の高さが伺える。

 実際に発売されたツインは、当時のアルトをベースに全長を2,735mmへと大幅に縮め、2人乗りのシティコミューターとなっており、エントリーグレードの「ガソリンA」は49万円という低価格を実現していた。

 ただこのグレードは、パワーステアリングはおろかエアコンも備わらず(オプションで9万円の設定)、トランスミッションも5速MTのみという割り切った仕様となっていたのはご愛嬌。

 しかし560kgという軽量ボディに44PSのK6A型エンジンの組み合わせは軽快で、速さはないものの運転する楽しさを味わうことができるピュアなモデルでもあった。

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■バイクのバッテリーを改良して搭載!? スズキらしさ満載のデキ

 また、割り切ったガソリンモデルのほか、市販軽自動車としては初めてのハイブリッドモデルを設定していたこともツインの特筆すべきポイントで、現在も軽自動車にハイブリッドモデルを設定し続けるスズキの先駆車とも言える存在となっていた。

 なおこのハイブリッドモデルはエンジンとトランスミッションの間にモーターを搭載して駆動をアシストするマイルドハイブリッドとなっており、バッテリーはリアのトランクスペースにバイク用のバッテリーを改良したものが搭載されていたのも、バイクも扱うスズキらしいポイントと言えるだろう。

 そんなツインはもともと市場調査的な意味合いもあったモデルで(ハイブリッドモデルなどは特にそうだった)、ほぼ手作業で作られていたこともあって、販売目標も200台とミニマムだった。

 結局モデルとしても2005年末には終売となり(ハイブリッドモデルは2005年2月に先んじて終売)、わずか3年弱の短いモデルライフとなってしまったが、シンプルなモデルの少ない今こそツインが復活するタイミングと言えるのではないだろうか。

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