子供の時分に「これがみらいのせかいだ!」的な雑誌のページを見たことのある昭和世代には、「空飛ぶクルマにはタイヤついてないとダメだろ!」という意見も少なくない。しかし中国の小鵬匯天が開発中のX3-Fは、少年時代の我々の想像を超えた「空飛ぶクルマ」なのだ!!

※本稿は2024年5月のものです
文:角田伸幸/写真:小鵬匯天
初出:『ベストカー』2024年6月26日号

■「空飛ぶクルマ」にはタイヤが欲しい!?

小鵬匯天が開発したX3-F。ミニバン後部に搭載されたエアモジュールが飛行する

 俗にいう「空飛ぶクルマ」だが、「タイヤがないからクルマじゃないだろ!」という人もいる。そのため最近は「エアタクシー」とか「乗用ドローン」といった言い換えも進んでいるのだが、世の中にはちゃんとタイヤの付いた「正統な空飛ぶクルマ」を開発している企業もある。

 その最先端にいるのが、中国小鵬汽車の子会社である小鵬匯天(シャオペン・エアホート)。同社はクルマの一部が分離して飛行できるモジュール式車両を開発中で、2024年3月にはそのエアモジュールが中国中南部民用航空局から型式証明を得たと発表した。

 この空飛ぶクルマ、コードネームをX3-Fというが、「母船」と呼ばれる車両部分がかっこいい。一見ミニバン風のBEVなのだが、後輪が2軸の6WDとなっている。後輪はステアもするので、狭いところの移動も楽ちんだ。

記事リンク

前の記事

新時代のスバル2ドアクーペはBEVでも「安全+愉しさ」で意のままの走り!? 未来のスバルフラッグシップスポーツはSUV風味でスバルらしさ全開!!

次の記事

空飛ぶクルマが発売スタート!! しかも国産!! でも億超えの衝撃

■実用化がますます楽しみだ!

やはり将来は、乗り換えが不要なこのタイプが主流になるだろう。実用化が楽しみ

 クルマから分離して空を飛ぶエアモジュールは、その「母船」の後部に格納されている。空を飛ぶ時はいったん地面に降ろされ、乗員が乗り換え、プロペラを展開してから離陸するらしい。積み下ろしの仕様は不明だが、車両側が完全自動で行うということだ。

 母船は4~5人乗りなのに、エアモジュールが二人乗りのため、全員が空に行けないという点は置いておいて(笑)、この自走式のeVTOLは、将来個人の移動を大きく変える可能性を秘めている。空路を含む長距離移動が、自宅からシームレスに繋がるからだ。

 小鵬匯天はX3-Fの次世代型も開発中だという。こちらは流麗なスポーツカータイプで、運転席がそのまま宙に浮く一体型。やはり将来は、乗り換えが不要なこのタイプが主流になるだろう。実用化が楽しみ。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。