令和になって早5年半。この期間に多数のNEWモデルも登場し、ライバル関係もそろそろ固まってきた。その対象となるクルマは枚挙に暇がないが、ここでは4カテゴリーで宿命のライバルとなる8台をピックアップしてみた。

文/FK、写真/トヨタ、スズキ、ホンダ、三菱

■軽SUVトールワゴンを買うなら三菱のデリカミニ? それともスズキのハスラー?

“DAILY ADVENTURE(日常に冒険を)”をデザインテーマとした内外観が特徴的なデリカミニ。凛としながらも親しみやすい、デリカらしい表情も存在感を放つ

 1993年のワゴンR登場以来、軽自動車の主流となったトールワゴン。最近はアウトドアブームの流れを汲んだSUVテイストを盛り込んだモデルも続々と登場してきているが、なかでも人気を集めているのが三菱のデリカミニとスズキのハスラーだろう。

 その車名からもわかるように、力強い走りを予感させるSUVならではのスタイリングをまとって2023年5月に登場したデリカミニ。

 利便性に優れた機能的なインテリア、広々とした室内空間、砂利道など未舗装路の運転も安心で快適な走行性能まで、どれをとっても一級品のスペックを誇り、予約受注開始から3カ月で約9000台の受注を記録したヒットモデルとなった。

 一方、ハスラーの現行モデルは2019年12月にフルモデルチェンジを受けた2代目で、アウトドアアイテムから着想を得て機能性を追求したタフさや力強さが自慢。荷室側からも操作可能なリアシートスライドや荷室下に防汚タイプラゲッジアンダーボックスを採用するなど、こちらも普段の使い勝手を意識した装備が満載されている。

 また、両者ともにターボエンジンやフルタイム4WDを搭載したモデルもラインナップしており、まさに甲乙つけがたいスペックを誇る。

 となると、残る比較対象は車両本体価格だが、デリカミニが180万4000円から207万4600円なのに対して、ハスラーは151万8000円から193万3800円と若干割安。

 あとは購入者の“好き嫌い”に委ねるのみ……となるわけだが、デリカミニにはシャモニーパッケージ、ハスラーにはラフワイルドというアウトドアテイストを前面に打ち出した派生モデルもあり、“どちらを選ぶべきか?”という悩みは尽きない(が、それはそれで楽しいかも)。

■群雄割拠のコンパクトSUVシーンを牽引するトヨタのライズとホンダのWR-V

 一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表した2023年の乗用車ブランド通称名別順位で13位にランクインしたトヨタのライズ。

 171万7000円から230万9200円のリーズナブルな車両本体価格に加え、全長4m以下の5ナンバーサイズながらSUVらしい力強いスタイル、クラストップレベルの広々とした荷室、室内空間と多彩なユーティリティ収納スペースなどで人気を博している。

 また、新開発の軽量高剛性ボディやサスペンションによって優れた操縦安定性と快適な乗り心地も実現。1.0リッターのターボエンジンとトヨタ初採用のD-CVTとの組み合わせもトルクフルな走りと低燃費を両立し、かつ安全機能と先進機能も充実しているのだから人気が出るのも当たり前といったところだ。

 しかし、そんなライズの存在を脅かすホンダのWR-Vが2024年3月にデビュー。

 WR-Vの車両本体価格は209万8800円から248万9300円とライズよりも割高だが、メイン購入ターゲット層である20~30代のミレニアル世代を意識したTV CMが自動車カテゴリーで好感度No.1を獲得する追い風も後押しとなり、発売1カ月後の受注台数は約1万3000台と好調な立ち上がりをみせた。

 そんなWR-Vの最たる特徴はコンパクトSUVとは思えない室内空間の広さだが、他にもボディの振動抑制や各所に配した防音材・遮音材によって実現した静粛性、多彩なシートアレンジ、458リッターの容量を誇るラゲッジルームも特筆点。

 さらに、パワートレーンは静粛性・高出力・気持ちいいサウンドを融合した1.5リッターDOHC i-VTECエンジンを搭載し、CVTもDBWとの協調制御によってリニアな加速フィールと心地良くて安心感のある走りも提供。

 それだけに、最大で約80万円というライズとの差額を埋めるだけの付加価値も高い……とみるのが妥当だろう。

■国産のピックアップトラックの雄! トヨタ・ハイラックスV.S.三菱・トライトン

トライトンは頼もしく存在感のあるフロントフェイスと、ワイドで厚みのあるプロポーションが見た目の迫力を演出

 2024年2月の発売に先駆けて行われた先行予約で販売計画を大きく上回る受注を獲得した三菱のトライトン。タレントのヒロミさんをブランドアンバサダーに起用して注目を集めたが、商品自体の魅力も大きな注目の的となった。

 内外装デザインからシャシー、ラダーフレーム、エンジンまで三菱自動車独自で新開発したトライトン。

 ドライバーの意のままに操れる質の高い走りを実現するべく、2ステージターボシステムを採用した2.4リッタークリーンディーゼルエンジンをはじめ、パジェロ譲りのSS4-IIシステム、ブレーキ制御式のアクティブヨーコントロール、アクティブLSDなど充実の装備を誇る。

 また、各4WDモードで選択可能な7つのドライブモードもあらゆる路面状況で高い走破性能を発揮するなど走行性能の高さは折り紙付き。

 存在感抜群のプロポーションや機能的で操作性に優れる上質なインテリアもアウトドアアクティビティの可能性を広げつつ、普段使いに対応しているのだから注目されるのも納得といったところだろう。

 そんなトライトンのライバルといえるのが、2017年9月に行われたランドクルーザープラドのマイナーチェンジと同時に国内市場に導入されたトヨタのハイラックス。

 “タフの再定義”をコンセプトに採用されたサイドレールの断面を拡大して頑丈さや安全性を向上したフレーム、衝撃吸収性と振動減衰性を高めて走破性としなやかな乗り心地を両立した足回り、全回転域での力強い走りを実現したディーゼルエンジン&6速トランスミッションなどにより、あらゆる観点からタフさの徹底追求が行われているのは男心をくすぐってやまない。

 車両本体価格はトライトンが498万800円から540万1000円、ハイラックスが407万2000円から477万2000円でハイラックに分があるが、アナタならどちらを選ぶ?

■2座スポーツカーに乗るなら直6のトヨタ・スープラ? それともV6の日産・フェアレディZ?

 いまや希少な国産2シータースポーツカーの代表格であるトヨタのスープラと日産のフェアレディZは国内最高峰のツーリングカーレースであるSUPER GTでしのぎを削る関係にあるが、市販モデルにおいても必ず比較される宿命のライバル関係にある。

 2019年5月に17年ぶりの復活を遂げたスープラは2シーターに割り切ることでトヨタ86よりも100mm短い2470mmを、ホイールベースとトレッドの比率も1.55という他の量産スポーツカーと比較してもトップレベルの数値を達成するとともに、水平対向エンジンを搭載するトヨタ86より低い重心高を実現。

 ピュアスポーツカーとしての基本素性を追求した車両パッケージに加え、上位グレードのRZが搭載する伝統の直列6気筒3.0リッターツインスクロールターボエンジンも最高出力がデビュー当初は340psだったが、2020年4月に47ps向上。2022年4月には6速MTを追加する改良が行われ、着実な進化を遂げている。

 一方、スープラのRZグレード(車両本体価格731万3000円)に比べると約65万円安いフェアレディZ(Version STグレード)も同車史上最強の3.0リッターV6ツインターボエンジンに加え、停止状態から加速性能のポテンシャルを最大限発揮する自動制御技術ローンチコントロールを日産のFR車として初めて搭載した意欲作。

 歴代モデルをオマージュしたエクステリアデザインに目を奪われるが、他にも見どころは盛りだくさん。

 例えば、フェアレディZ専用のスポーツモードは日本を代表するトップレーサーである松田次生選手からのアドバイスによってタコメーターを中央に配置し、シフトアップタイミングがわかるシフトアップインジケーターを設定するなど、ドライビング時の高揚感もしっかりと演出されている。

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