EV市場の成長鈍化が伝えられるなか、CATLは20%を超える増収を達成して強さを見せつけた。写真は福建省寧徳市の本社ビル(同社ウェブサイトより)

世界最大の車載電池メーカーである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は3月15日、2023年の通期決算を発表した。売上高は前年比22.01%増の4009億2000万元(約8兆2833億円)、純利益は同43.58%増の441億2000万元(約9115億円)に上り、大幅な増収増益を達成した。

主力事業であるEV(電気自動車)向け車載電池は、2023年の販売量(容量ベース)が前年比32.56%増の321ギガワット時(GWh)に達し、総売上高の71%を占めた。車載電池の最大顧客はアメリカのEV大手のテスラで、同社向けの販売額は総売上高の12.5%に上った。

海外売上比率が3割強に

車載電池に次ぐ事業規模の蓄電システム用電池は、2023年の販売量が69GWhと前年比46.81%増加し、車載電池を上回る伸びを見せた。また、車載用も蓄電システム用も海外販売が大きく拡大し、総売上高に占める海外売上高比率は(前年の23.41%から)32.67%に上昇した。

CATLの電池生産能力は、2023年末時点で552GWhに達し、直近の設備稼働率は約70%だった。同社はさらに、約100GWh分の新たな生産設備の建設を進めている。

好調な業績を背景に、CATLの2023年の営業キャッシュフローは928億3000万元(約1兆9179億円)のプラスとなり、手元資金は潤沢だ。同社は2023年の研究開発投資を前年の155億元(約3202億円)から184億元(約3802億円)に増やしたが、財務的にまだ余裕がある。

CATLトップの曽毓群氏は、EV市場の将来に楽観的な姿勢を示す。写真は2023年12月の部品サプライヤーとの会合で登壇した曽氏(同社ウェブサイトより)

注目されるのは、同社が2023年の株式配当を1株当たり0.35元(約7円、特別配当を含む)とし、前年の0.05元(約1円)から大幅に引き上げたことだ。配当の原資は220億6000万元(約4558億円)に上るが、長期的な成長投資と株主還元とのバランスをとる。

「クルマの電動化は止まらず」

足元では、欧米市場を中心にEVの販売の勢いが落ちている。それに関して、CATLの董事長兼総経理(会長兼社長)を務める曽毓群氏は決算説明会で、「ヨーロッパの一部の自動車メーカーに電動化投資の規模とスピードを調整する動きが見られるが、クルマの電動化の流れは止まらない」と述べ、将来に楽観的な姿勢を示した。

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曽氏の見方によれば、上述の自動車メーカーの動きは強気すぎた投資計画の見直しであり、今後(のEVシフト)はより合理的なペースになる。その根拠について、曽氏は次のように説明した。

「EVが将来の(自動車の)主流になるのは間違いない。クルマのスマート化とともに、(自動運転システムや車内エンターテインメントなどの)車載機器の消費電力が増えていく。小容量のバッテリーしか搭載しないハイブリッド車では、このニーズを満たすのは難しい」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月16日

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