メルセデスベンツの高級ミニバン、『Vクラス』次期型のプロトタイプをカメラが捉えた。次世代アーキテクチャーを偽装ボディの下に隠し、市場導入にあたってはブランド再編の可能性も絡んできそうだ。

メルセデスベンツ『Vクラス』は、初代が1998年に、商用バン『Vito』(ヴィトー)の乗用車バージョンとして登場した。第3世代となる現行型は2014年に発売され、そのフル電動バージョンの『EQV』が2020年に導入されている。EQVは2023年3月に大幅改良が実施されたばかりだが、ベースの現行Vクラスは発売から10年が経過しており、第4世代の開発が佳境だ。

スクープ班が今回捉えた次期Vクラスのプロトタイプは、従来のプロトタイプよりフロントエンドの偽装が軽くなり、現行Vクラスや、最新EQVとも異なる、つり上がったヘッドライト形状が初めて露出した。バンパーには縦スリットの入ったアグレッシブなエアインテークが空けられ、その上部にはレーダーも確認できる。ただしこのプロトタイプは、現行Vクラスのボディを流用したテストミュール(テスト車体)なので、次期型の量産デザインに向けてまだ大きな変化が見られるだろう。

プロトタイプの下には、メルセデスの次世代「VAN.EA」アーキテクチャーが隠されている。これは、フロント、センター、リアの3つの異なるモジュールで構成される、高度な設計の電動車プラットフォームで、さまざまなサイズのバンに合わせて調整可能だ。次期型では現行と比べてトレッドが広くなり、全長もストレッチされると予想される。

メルセデスベンツ Vクラス 次期型のプロトタイプ

VAN.EAアーキテクチャーのフロントモジュールは、すべてのバンに、前輪を駆動する電気モーターを備えたモジュールが採用される。いっぽうリアモジュールは電気モーター付きと、なしの2種類。そしてセンターモジュールによってボディの長さを調整、さまざまなバッテリー容量にも対応するという。

このアーキテクチャーは2026年以降、すべての新型メルセデスベンツのバンに適用される。市場導入初期にはシンプルなレベル2のクルーズコントロールが搭載され、数年後には、レベル3~4の自動運転機能を搭載するという。運転支援テクノロジーで遅れをとっている日本製ミニバンとは大きな差がつきそうだ。今回捕捉したプロトタイプのサイドミラーにも、自動運転システムの一部と思われる大きなセンサーポッドが見える。

メルセデスベンツ Vクラス 次期型のプロトタイプ

VAN.EAアーキテクチャーの商用用途には、通常のパネルバンから救急車、キャンピングカー、フラットベッドトラックまで多種多彩な用途が含まれる。乗用バージョンでは豪華な仕様になり、少なくとも500kmの電気走行距離を実現するだろう。

市場に目を転じると、メルセデスベンツは2020年代後半に北米で電動Vクラスを販売することを計画している。中国で高級ミニバン市場が急成長しており、レクサスが『LM』を開発する動機となったが、太平洋を越えた北米市場ではLMは販売されていない。しかしメルセデスベンツは北米市場にも高級ミニバンの可能性があると考えているのだ。

またメルセデスベンツは、電動モデルのサブブランド「EQ」を2024年にも終了すると噂されており、次期Vクラスのフル電動バージョンがEQVの後継になる可能性がある。そうなると現在EQVが導入されていない日本市場でも、電動Vクラスの発売が大いに期待できる。

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