カロッツェリア・サイバーナビが初めて世に出たのは1997年。カーナビゲーションの黎明期から常に新しい事に挑戦し続けて多くのユーザーを驚かせてきた。

進化を積み重ねるサイバーナビの最新モデルに換装してみて感じたのは、今回はマイナーチェンジでは無くモデルチェンジだということ。前モデルを使っていたからこそ、その違いの大きさに驚くことになる。

◆ナビゲーション能力が高いのは『当たり前』
事故を起こしたくない、安全運転を目指すからこそ市販ナビを使う

自分がクルマ選びをするときに最重要な項目として『市販ナビが装着出来ること』というのがある。

世の中はスマホが普及してほとんどの情報が手元で取得することが出来るし、検索~ナビ開始まで地図アプリやナビアプリだと一連の流れで案内開始となって非常に便利。リアルタイムの渋滞情報やオービスの位置まで教えてくれるアプリもあるので、市販ナビの必要性を感じないという意見を聞く事もあるけれど、ナビアプリを使う人はとんでもなく狭い道を案内されたり、GPSをロストして案内されなくなって面倒な思いや怖い思いをしたことがあるだろう。

市販ナビとスマホナビの大きな違いとして“車速”と“ジャイロ”を読み込んでナビに反映させられるか、というのがある。

車速を読み込むことでGPSを受信出来ない場所でもロストする事は無くなるし、ジャイロのデータを活用することで上下に分かれている道路でも正確な位置をナビゲートしてくれる。自分もスマホナビを使ったときに突然自車位置をロストして焦った事があり、その焦りこそが事故の原因になると思っている。

時代遅れと言われるのかも知れないが、自分にとっての安全運転にはスマホナビじゃなく市販ナビが重要な要素。今まで所有してきたクルマには必ず市販ナビを装着してきたけれど、その中でもカロッツェリア・サイバーナビへの信頼度はとても高く、道案内を安心して任せられる相棒と言える存在だ。

◆サイバーナビはエンタメ機能も充実
音響メーカーとしてのプライドが感動を与えてくれる

ハイエンドオーディオの世界で一世を風靡したcarrozzeria X RS-D7XIII+RS-P90X

サイバーナビはカーナビゲーションとして優秀なのはもちろん、カーオーディオのメインユニットとしても進化をし続けてきた。カーオーディオユーザーであれば知る人の多いハイエンドカーオーディオブランド『カロッツェリアX』で培われてきた知見や技術の多くが注ぎ込まれている。リアルなサウンドを奏でるための調整機能の充実や、オーディオ部分を司る基板設計とパーツ選定にかなりのこだわりを持って製品化されている。

モデルチェンジのたびに音の進化を体感しているけれど、常に音が洗練されていって高品位なサウンドに変わってきたなと感じられた。ただ、その中で突然変異的な大幅な進化を感じさせてくれた機種が2つあり、その1つが2018年に登場した『サイバーナビXシリーズ』だ。

当時かなり話題となり良い音を求めるユーザーが数多く装着したサイバーXシリーズ carrozzeria AVIC-CZ902XSll

ナビゲーション能力は当時のサイバーナビと同等、オーディオ部分に関しては妥協せずに高音質パーツをふんだんに使い、高性能なDSPを搭載してナビをソースユニットとしたハイエンドなカーオーディオを実現させたのだ。音の違いは非常に大きく、同時に販売していたサイバーナビと比べても完全に別格。音の質や音色の違いは誰もが分かるほど“良い音”を奏でていて、その当時はとても衝撃を受けたことを覚えている。ここまで性能が上がればカーオーディオを楽しむにはカーナビゲーションをソースユニットとしてシステム構築をすればかなりのレベルまで到達出来るほどの製品になったなと思える進化だった。

現行のサイバーナビ carrozzeria AVIC-CQ912lll DCモデル

そして2つ目の衝撃となるのが現行モデルのサイバーナビ AVIC-CQ912 lll だ。ここ数機種はdocomo in Car Connectを使ったオンデマンド系の楽しさを訴求している事が多かったけれど『サイバーナビ史上最高音質』と久しぶりに音の良さを前面に押し出してきた。細かく話すと難しくなってしまうので簡潔に言えば、いま世の中に存在するパーツから厳選・採用して、ノイズ対策も含めて基板設計も見直しを行った結果が今回の製品となっている。製品説明を受けたときに思ったのは『カーナビゲーションでここまでやるか?』と思うぐらいの内容。それを体感すべくマイカーへ搭載する事を決めたのだ。

◆サウンドの大きな進化はもちろんの事
その個性さえも変えてきた驚きのモデルチェンジ

現行のサイバーナビ carrozzeria AVIC-CQ912lll(右)と前モデルのcarrozzeria AVIC-CQ912llは見た目の違いは無い

現時点でマイカーに搭載されていたのは前モデルのサイバーナビ AVIC-CQ912 ll。この機種自体も過去機から着実に音の進歩が感じられていて特別不満は無かったのだが、サイバーナビ AVIC-CQ912 lll に換装したらどれだけ変わるのかを体感してみた。ある程度の条件は揃えたかったのでDSPの設定は両機種とも同じとして、出来る限り音の違いのみで判断出来るようにした。

まず前モデルのサイバーナビ AVIC-CQ912 ll は印象として優等生なサウンド。綺麗で透明感があって耳馴染みの良いフラットな音を奏でてくれる。低域から高域までしっかりと輪郭を持って解像度あるサウンドはとてもレベルが高い。無色透明、音源を余すこと無く再生するのはまさにHi-fiサウンドだなと思わせてくれる仕上がりだ。

そして配線をつなぎ替えて現モデルのサイバーナビ AVIC-CQ912 lll で同じ曲を流してみれば、最初の1フレーズで全く別物だと思わせる再生力を感じさせてくれた。

前提として前モデルのサイバーナビ AVIC-CQ912 ll に比べて全体の質が上がっているのはもちろんだけれど、そこに音のメリハリが付き艶やかさが大きく増している。これは音の密度がかなり濃くなっているから同じ一音でも質の違いが出ている結果だろう。無色透明のHi-fiサウンドとは違い、高い質を持ちながら“色付け”のある華やかなサウンドだ。そして音楽が立体的に聞こえてきてリアル感が半端ない。走行中だとその差はもっと大きく、ボリュームを上げるとライブ感増し増しな空間を作ってくれて、今まで以上に凄く運転が楽しく感じる。これは過去イチの進化かも知れないと思わせてくれた。

見た目は同じでも中身は大幅な進化、というか生まれ変わりを果たしているサイバーナビ AVIC-CQ912 lll。ナビ性能はもちろんの事、オーディオ機能の進化、そしてdocomo in Car Connectを使った機能までを考えれば市販ナビを装着出来るクルマを所有しているユーザーに自信を持ってオススメ出来るので、価格以上の満足感を是非とも体感して欲しい。

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