個性が強く、ゴリゴリのセールストークでクルマを購入させる営業マンが、昨今は減っている。この理由には、クルマの売り方が大きく関わっているようだ。時代は令和、成果も勿論大事ではあるが、それよりも今大事なことが「お客様満足度」にあるのだ。

文:佐々木 亘、写真:Adobe Stock(トップ画像=makibestphoto@Adobe Stock)、トヨタ

■利益追求型営業マンはもう要らない! 必要なのは優しい営業

今の「良い営業マン」たちは、顧客からの評価が非常に高い傾向にある(Dusko@Adobe Stock)

 ひと昔前の営業マンと言えば、成績を上げてナンボ。クルマを売り、点検の入庫率を上げて、保険や割賦の契約を取りに行くという成果偏重の人が多かった。もちろん、会社もこうした営業マンの登場を期待しており、成績を上げれば上げるほどに、個人フィーが多く支払われ、出世も早い。

 現在でも、こうした力技で地位を上げていく営業マンがいないわけではないが、全体としての数は減ってきている。代わりに増えてきているのが、押しがそれほど強いわけではない、面倒見のいい平和な営業マンだ。

 車販も付随契約も中程度の成績で、点検入庫率が非常に高い。さらに大きな特徴が、顧客満足度(CS)の高さにある。

 販売店では新車納車時や初回車検入庫時に、営業担当者や店舗の評価につながるアンケートを実施していて、今の「良い営業マン」たちは、顧客からの評価が非常に高い傾向にある。具体的には「対応が良い」「相談に乗ってくれる(アドバイスも適切)」「付き合っていて心地が良い」という声が多い。

 グイグイ引き込む営業マンよりも、同じ目線になって共に歩を進める営業マンの方が、顧客に好かれ、会社からも評価される時代になった。「ザ・営業」が苦手な若年層を中心にしたユーザーは、こうした当たりの優しい営業マンをディーラーで探してほしい。

■頻回になった営業マンの異動

 現代版の良い営業マンを探してカーライフを楽しむ。これが令和のスタイルなのだが、もう1つ昔とは違う営業マンの動きが発生している。それが異動だ。

 少し前だと、「客は営業マンに付く」という考えから、10年以上も同じ店舗で働くことが少なくなかった。営業マンの異動はそれほど多くないし、万が一に異動があっても近くのお店というケースが馴染みの流れだったのだ。

 しかし、昨今の自動車ディーラーでは、営業マンの人事異動を頻繁に行われている。異動先がエリアの異なる遠いお店ということも珍しくない。ユーザーが営業マンについていこうにも、物理的に不可能という場合も多くあるだろう。

 そうなると、良い営業マンを探し当てても数年で他店舗に異動というケースを考えておかなければならない。そこで営業マン選びよりも、もっと大切になるのが、店舗選びの目である。

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■これからは店舗に面倒を見てもらう時代

ユーザーは、営業マンを選ぶのと同時に、お店全体でのサポート体制も見極めておこう(Kalim@Adobe Stock)

 令和のカーライフには、良いお店選びが重要だ。

 一口に良いお店といっても様々な尺度があるが、具体的には「担当営業以外でも代わりがきくお店」を選んでほしい。スタッフ同士の仲が良く、交流したことがないスタッフでも、自分のことを名前で呼んでくれて、軽くトークができればベストだろう。

 営業マンの中には、自分の担当以外の顧客に対応するのを「面倒なこと」と捉えて、やりたがらない人も一定数いる。こういう営業マンが集まる店だと、自分の担当が休みの日や、異動してしまった後に、嫌な思いをすることも多くなるのだ。

 ユーザーは、営業マンを選ぶのと同時に、お店全体でのサポート体制も見極めておこう。あえて担当スタッフが休みの日に、ディーラーを訪問してみるというのも、お店の見極めには悪くない動き方だ。

 これからの時代、より重要になるのは手厚いサポートをしてくれるお店探しになる。スタッフのやる気につながる報奨金も、営業マン個人単位ではなく、店舗全体に対して支給されるケースが増えてきた。

 お店作りを丁寧に行うディーラーが、今後も生き残っていけるディーラーであり、ユーザーが積極的に選ぶべき場所になってくる。是非、多くのユーザーには、「店を見極める目」を作っていってほしい。

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