ドイツから自動車シートを手がけるレカロが破産したという報道が寄せられている。レカロといえば、WRXやコペン、スイフトスポーツ、GT-R NISMOなど、多くの日本車も採用してきた名門。はたして影響はないのだろうか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=Artem@Adobestock)、ダイハツ、ベストカーWeb編集部
■破綻したのは欧州部門。日本の事業に当面影響はなし
レカロといえば泣く子も黙る自動車用シートの老舗。もともとは1906年、ヴィルヘルム・ロイターが起こした馬車の架装事業が祖業で、その後は自動車の車体設計や生産に進出した。
とはいえ第二次世界大戦が終わると、自動車のシャシーと上屋を分業するクルマ作りは終わりを告げる。そこでロイターは車体生産や内装部門をポルシェに売却し、シート専業メーカーとして再スタートを切る。ここで元の社名(ロイター・カロッスリー)の頭文字から付けられた名前がレカロだ。
レカロのシートといえば日本車にも縁が深い。ランエボやインプレッサ、ホンダのタイプRシリーズなどなど、レカロ製シートを性能の代名詞としてきた日本車は数知れないし、現在でもスバル WRX S4やダイハツ コペン(一部グレード)がレカロのシートを採用している。
そのレカロが破綻したとなると、こうしたクルマの生産にも不安が出てくるが不都合はないのだろうか?
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■今後、サプライヤーやメーカーが支援に乗り出す可能性も
結論から先に言うと、「心配なし」だ。
そもそも今回の破綻は、航空機から列車用シート、ゲーミングチェアまで手掛けるレカロの事業部門のうち、自動車用シートを担当する「レカロ・オートモーティブ」の欧州部門(ドイツ)の話。
レカロ・オートモーティブは欧州の他、北米、アジア(日本)に独立した拠点があり、当然日本車のシートはアジア部門が担っている。なので今回の騒動ですぐさまWRXやコペンの生産が止まったりすることはない。製品の修理などに関しても継続して行われるはずだ。
そもそもレカロ・オートモーティブは、レカロというブランドを通じてレカログループと提携関係にはあったものの、経営自体は異なる道を歩んできた。
その経緯は、2011年にアメリカのハイテク企業「ジョンソン・コントロールズ」が買収した後、アイルランドの自動車サプライヤー「アディエント」傘下となり、さらにはアメリカの投資会社「ラーヴェン・アクイジション」が買収するという複雑なものだ。
レカロ・オートモーティブの今後だが、民事再生的に大手サプライヤーや自動車メーカーが支援の手を差し伸べることもあり得る。
優れた性能と100年以上の歴史を持つ老舗ブランドだけに、レカロの自動車シートにはぜひとも存続してほしいものだ。
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