8月に入って夏も本格化、猛暑がやってきた。40度に迫る気温は人間に厳しいが、もちろん同じようにクルマにも厳しい。そんな真夏にクルマを労るコツと、傷めていしまう振る舞いがある。できるだけダメージを与えないように夏場を乗り切りたい。

◆真夏は特に気をつけたいクルマに対する行動とは?

まず、クルマにダメージを与えるもっともオススメできないことが長時間のアイドリング。アイドリングはエンジン回転数が毎分600~800回転くらいでゆっくりと回っている状態。エンジンには優しそうなものだが実は真逆。

エンジンは内部をオイルで潤滑して摩耗を防いでいる。クランクシャフトはクランクメタルの内部にオイルが供給され、そのオイルの中にクランクシャフトが浮いている。オイルに浮いているからクランクシャフトもクランクメタルも摩耗せずに何万kmも使用することができる。

エンジンブローでもっとも多いのがこのクランクメタルのトラブル。この部分の油膜が切れて、クランクメタルとクランクシャフトが接触して摩耗。摩耗することでガタガタになってしまう「コンコン」という音が鳴り出すのがメタルブローと呼ばれるトラブルだ。

そのまま乗っているとクランクシャフトが暴れ、コンロッドが折れてエンジンブロックを突き破ったりする重大なトラブルに繋がってしまう。

◆いつも以上にオイル管理は重要となる

では、このトラブルがなぜ起きるのかというと主な原因はオイルの潤滑不足。オイルの油圧低下が原因。エンジン内部はオイルポンプによってオイルが循環されているが、このオイルポンプはエンジン回転数と連動している。アイドリング時はオイルポンプもゆっくりと回っていて、油圧が低い状態なのだ。

その油圧が低い状態だと、クランクシャフトがオイルの中で浮くことができず、クランクメタルと接触。徐々に摩耗してダメージが蓄積していき、ある時メタルがコンコンと鳴り出すブローにつながってしまうのだ。

なので、暑いからエンジンを掛けてエアコンを効かせたままの昼寝などがもっともリスクが高い。気温が高くエンジンオイルの油温も高くなる。オイルは普段以上にダメージを受けやすい。そのオイルがダメージを受けている状況で、気温が高ければ油温も高くなりオイルは粘度が低くなって油圧が下がりがち。そんな状況で長時間のアイドリングはエンジンにダメージを与えやすい状況なのだ。

◆良かれと思ってやった暖機運転も夏には要注意!

これは暖機運転にも共通して言えること。エンジンを労ろうと数十分エンジンを掛けてからそのままにして、それから走り出す人もいるがこちらもエンジンを労るなら真逆。

エンジン始動したら数十秒したらゆっくり走り出してOK。むしろそのまま止まっているよりも、ゆっくりと走り出してオイルを循環させながら、徐々にエンジンを温めたほうが良い。

走行後にエンジンを冷ますためにアフターアイドルしている人もいるがこちらも同様に不要な行為。ターボ車で走行直後にエンジンを止めるとタービンに良くないという話もあるが、それはたしかに全開走行からいきなり停止してエンジンストップは良くないかもしれない。だが現実的に全開走行から止まってエンジンをストップするシチュエーションがあるだろうか。高速道路を法定速度で走っていたくらいならアフターアイドルはまったく不要。こちらもむしろ油圧が低い状態でエンジンを回し続けるほうがよくないのだ。

◆出来る事ならエンジンオイル交換を実施しよう!

あとはできることなら、夏場を迎える前にはエンジンオイルを交換しておきたい。上記のような厳しい気温の中で走る場面が増えるし、猛暑の中お盆の大渋滞に巻き込まれることもあるだろう。そうなると強制的に長時間のアイドリングをせざるを得ない。そんなときに少しでもダメージ防ぐなら新しいオイルのほうが良い。また、夏場だけ少し硬めのオイルを使うのも手。

自動車メーカーでは使用するオイルの番手に幅を持たせていることがあり、5W30と10W40が適合だったりする。それなら夏場は10W40にするという方法もある。

この暑さではついアイドリングで仮眠したくなったりすることもあるが、できることならエンジンを止めて人間は建物で涼み、長時間のアイドリング状態にならないようにしてもらいたい。

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