チャーハンとラーメンのセットを愛知では「チャーラー」と略して親しんでいるという。このセットメニューを愛してやまないのが、現地在住でBCの姉妹メディア「おとなの週末」のライター・永谷正樹氏。今回は少し変則的なお話で、関西で人気のラーメンチェーン『ラーメン横綱』と岡山で出会った『ラーメン大統領』という、よく似たこの2軒の関係に迫ります。
撮影・取材/永谷正樹
■関西人ならご存知『ラーメン横綱』
関西ではお馴染みのラーメンチェーン『ラーメン横綱』(以下、『横綱』)。筆者が20~30代の頃に愛知県内でもよく見かけるようになった。
店があるのは交通量の多い幹線道路沿いで、広々とした駐車場も完備。しかも、朝5時まで営業しているので、仕事で遅くなったときや遊びに行った帰りの〆でよく利用させてもらった。
当時は深夜1時、2時でもあの濃厚な豚骨醤油のラーメンをペロリと平らげることができたのである。50代となった今、同じことをしたら、朝目が覚めたと同時にリバースしてしまう(笑)。こってり系のラーメンが苦手なお年頃なのである。
さて、少し前になるが、仕事で岡山県津山市へ行ったとき、現場入りする前にラーメンでも食べようと思って国道181号線を車で走っていると、遠くにある黄と赤の看板が目に止まった。
■看板の色使いや味変アイテムが『横綱』とまったく同じ!
『横綱』は岡山にも出店しているのかと思ったが、近づいてみると看板には『ラーメン大統領』(以下、『大統領』)とある。何じゃこりゃ!? 幹線通り沿いにあるのも黄と赤の看板も『横綱』とまったく同じ。何となく気になったので、店へ入ってみることにした。
お昼時とあって、店内は大混雑。作業服姿の客が多いのも共通項か。って、ラーメンチェーンはどこでもこんな感じか。いや、でも、私を含めて現場で働く仕事の男たちにとって濃厚な豚骨醤油ラーメンは午後からのエネルギーをチャージするためにあるのだ。勝手なイメージだけど。
案内されたカウンター席に座ると、アルバイトのお姉さんが水と籠盛りのネギを持ってきた。これは『横綱』の代名詞ともいうべき、入れ放題のネギではないか。ちなみに筆者はレンゲに山盛り3杯までと決めている。
スープが冷めてしまうからね。チャーハンに入れてもシャキシャキとした食感が楽しめるのでオススメだ。
卓上に目をやると、これも『横綱』でお馴染みのにんにくとうがらしが鎮座している。ラーメンを半分くらい食べてから入れて味変をすると旨いんだよなぁ。餃子のタレに溶かしてピリ辛の味にするのもイイよね。
ちなみにこちらが『横綱』のネギとにんにくとうがらし、通称“ニントン”。店の看板や外観といい、味変のアイテムといい、ここまで同じということは、ここ『ラーメン大統領』は姉妹店なのだろうか。
■はたして『大統領』のチャーラーの味は
おっと、料理を注文しなきゃ。ラーメンは、「しおとんこつ」(748円)と「とんこつしょうゆ」(748円)、「みそラーメン」(968円)、「デカ盛りラーメン」(1089円)の4種類を用意。やはり、ここは「とんこつしょうゆ」一択だろう。『横綱』との違いをチェックしてみたいし。
メニューを見ると、ここにはチャーハンもあるではないか。「ランチチャーハン」(+374円)も追加しよう。『横綱』の「鉄板チャーハン」(ラーメンとセットで270円。平日のランチ250円)は、熱々の鉄板に盛られた味付きのご飯に溶き卵とチャーハンのタレを加えて作るセルフスタイル。
チャーハンの味は火力を自在に操る中華鍋さばきで決まると思っているため、チャーラーの旅において『横綱』に限らず、セルフスタイルのチャーハンは選考外としていたのだ。しかし、『大統領』のチャーハンは皿に盛られている正統派スタイル。しっかりと味を舌に焼きつけて評価しようと思う。
これが『ラーメン大統領』のチャーラーである。見た目はシンプルといえばシンプル。麺とチャーハンの量もしっかりあり、好感が持てた。これらにネギやにんにくとうがらしを加えて、自分好みの味にカスタマイズするのだ。
では、まず「とんこつしょうゆ」からチェックしてみよう。具材はチャーシューとメンマ、ネギ。『横綱』とまったく同じだ。しかし、チャーシューは厚くカットされていて、スライサーで薄切りにされた『横綱』のそれとは形状が異なる。
スープを飲むと、同じ豚骨醤油ゆえに『横綱』と酷似しているが、こちらの方があっさりしているというか、クリーミーな味わいがする。とんこつ臭はまったくなく、ほのかに香る『横綱』が男性的だとしたら、『大統領』は女性的といったところか。麺は中太のストレート麺かな。『横綱』と比べてやや太いと思う。
■『横綱』と徹底比較!
こちらが『横綱』の「ラーメン」(並盛690円)。店内の照明の加減もあるだろうが、こちらの方がスープの色が濃い。スープの表面には油が層になっているが、『大統領』の「とんこつしょうゆ」のスープは乳化している。クリーミーに感じるのはそのためかもしれない。
次に「チャーハン」を見てみよう。具材は刻みチャーシューとネギ、卵。味にこれといった特徴はなく、冷凍チャーハンのような万人受けする味。しかし、セルフスタイルのチャーハンよりも旨いのは間違いない。
シンプルなので、「とんこつしょうゆ」のスープやチャーシューと「チャーハン」を交互に食べると、だんだんと『大統領』の味になっていく。
「とんこつしょうゆ」ににんにくとうがらしをトッピングして食す。クリーミーでマイルドな味わいのスープがギュッと締まって、じんわりと辛さが広がっていく。うん、なかなか旨い。
『横綱』と辛みやパンチはほぼ同じだが、こちらは粘度が低く、スープにスッと溶けていく。まるで『一蘭』の「赤い秘伝のたれ」のようだ。
一方、「チャーハン」にはネギをトッピング。チャーハンとたっぷりのネギを頬張ると、味や食感が変わって、よりおいしくなる。やはり、『大統領』も『横綱』もこの味変こそが人気の秘密なのだ。
『横綱』と『大統領』の関係を調べてみると、両店はまったくの無関係らしい。『横綱』は1970年創業なので『大統領』が後発となるが、いわゆる“インスパイア系”ということか。
『おとなの週末』Web/2024年2月14日公開記事より転載
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