インターネットによる広告が力を付けているとはいえ、まだまだテレビCMによる広告効果は大きい。過去を振り返ると記憶に残るものも相当数存在する。数多くのテレビCMの中から今回は80年代前半の感動的なCMを紹介!!! こりゃマジで懐かしいぜっ!!!

文:高山正寛/写真:トヨタ

■野球史に残るあの名選手

1968年から2004年まで生産が続けられたマーク2シリーズ。写真は1980年から販売された4代目モデル(X50型)。

 そのCMは1982年6月、4代目トヨタ マークIIのマイナーチェンジのタイミングでオンエアされた。日本球界の宝でもある、あの長嶋茂雄を起用したCMだ。

 今の若い人にはわからないかもしれないが、王貞治(現ソフトバンクホークス会長)との「ON時代」は間違いなく子供達のヒーローだった。

 しかしそんな長嶋でもいつかは引退する時が来る。1974年に現役引退した長嶋はその翌年から巨人の監督に就任。しかし1980年に監督を辞任。この瞬間、多くのファンは長嶋がグランドにいない現実を叩きつけられる。そして2年後、ヒーローは帰ってきた。

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■衝撃のCMを見て「なんで辞めたんだ〜」と号泣

X50型は1982年にマイナーチェンジを行いX60型に。そのタイミングで長嶋氏のCMが制作された。

 4代目のマーク2はX50型だったが、マイナーチェンジの段階で型式がX60型に変更、それだけ中身の大きい変更だったが、それに相応しいCMキャラクターが長嶋だったのだ。

 当時、大学生だった筆者だが、テレビを見て「えっ、長嶋?」と思った、その瞬間、あの名セリフ「力があるっていいですね」が長嶋本人の口から流れた。

 そう、ヒーローには力が必要なのである(笑)。当時は解説者などをしていた長嶋だったが、販売は絶好調、「ハイソカー(もはや死語)」の代表格でもあるマークIIから颯爽と下りて来た長嶋と「ザ・ダイナミックエリート」のキャッチコピーを見て、思わず「なんで辞めちゃったんだよ〜」と号泣した記憶を今でも鮮明に覚えている。

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■さらにインパクト大のCMも!

それまでの1G-E型を4バルブ化、ヤマハとの共同開発によって誕生した名器。160馬力(当時のグロス値)、ヘッドカバーの「TWIN CAM24VALVE」の文字が誇らしい。

 そしてクルマの販売好調を受け、長嶋が主演するCMは何本も作られた。とくに15周年記念特別仕様車として販売された「グランデリミテッド」のCMは破壊力抜群!! だった。

 マークIIから降りてきた長嶋が歩いているとどこからかボールが飛んでくる。それを軽くジャンプして捕球する長嶋、そのままボールを返した瞬間、「今、大いなる存在にラブコールが聞こえる」というナレーション。そう、まるで長嶋の球界復帰を想起させるコピーに(多分)世の中の巨人ファンは「うおおおっ」と思ったはずだ。

「帰ってこい〜長嶋〜」ではないが、名器と言われた直6DOHCエンジン「1G-GEU型」を搭載する60型はとにかく売れた。ちなみに長嶋が球界に復帰するのはそれから11年後の1993年のことである。

 タレントを使うCMは今でも数多く制作されているが、長嶋が登場したこのCMだけは忘れる事が出来ないのである。

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