センターラインなどがない一般道路、いわゆる「生活道路」での車の法定速度を時速30kmとする道路交通法改正が閣議決定された。2026年9月の施行を目指すというが、はたして実効力はあるのだろうか? 国沢光宏氏がもの申す!!

※本稿は2024年7月のものです
文:国沢光宏/写真:トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツ、AdobeStock ほか(トップ画像=chapinasu@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年8月10日号

■道交法施行以来初! 法定速度引き下げの理由

「ゾーン30」をいよいよ本格導入。しかしどうやってルールを守らせる?(U4@AdobeStock)

 住宅街などのいわゆる生活道路について、警察庁は法定速度(※)を時速30kmに引き下げる方針を固めたという。

(※警察庁は、道幅の狭い生活道路の法定速度を、時速60kmから30kmに引き下げる方針を示した。歩行者や自転車の安全確保が目的で、法定速度の引き下げは1960年の道交法施行以来初めて。2026年9月の施行を目指している)

 この方針、残念ながらまったく理解できない。なぜかといえば、私の家の近所の道は都道やバスが通る強固なガードレールで区分された道もすべて30km/hだからだ。

 歩道と車道の区別なく子どもが歩く生活道路と同じ。標識などによる適切な速度規制が行われていない生活道路も地方にはあるけれど、30km/hにしたって何の意味もないと思う。

 というか、今でも30km/h制限の生活道路で危ない運転をする輩は40~50km/hで走っている。もちろん子どもや乳幼児を乗せた自転車の横を。

 何で警察が突如そんなことを言い出したのか? 聞くところによれば海外のマネらしい。

 ヨーロッパでクルマを運転したことのある人ならご存知のとおり、集落と集落の間は80km/hとか100km/h制限になっている。この速度で集落の中を走られたら危険なので、集落内は40km/h程度にしてます。

 歩行者が多く40km/hでも速いという場合「ゾーン30」みたいな標識を出し、制限速度を30km/hに抑えている。そもそも欧州の制限速度、極めて妥当。

 前述のどおりセンターラインのない道ですらドイツなんか制限速度100km/hですから。

 街中に入ると60km/hから50km/h。40km/hと制限速度は低くなっていくけれど、皆さんしっかり守る。というバックボーンがあっての30km/h制限なら効果絶大。ホントに30km/hで走っています。

 翻って日本を見るとどうか? 前述のとおりほとんど30km/h。しかも取り締まりをキッチリやっているワケじゃない。我が国の警察が得意とする制限速度取り締まりは、見通しのいい安全性に問題のないような場所。

「ここでやったらいいのに」と思えるような場所で仕事してる姿は見たことなし。という状況のなか、なぜゾーン30を日本でも大々的に導入しようと考えたのか? どうやって守らせるつもりなんだろう?

 こらもう取り締まり特区みたいな扱いにしておき、中国のようにレーダー付きの監視カメラを設置。

 30km/h以上出ている速度違反車がいたら、自動的にクルマの持ち主へ反則金の支払い通知と、再犯したらその区間の通行を禁止するくらいの覚悟が必要だと思う。

 プライバシーの問題あるなら、後方のナンバープレートでいい。それだとバイクだって取り締まれますから。クルマ側は競技車両に付いているピットレーン制限速度スイッチみたいなのを装着すればOK。

 アクセル踏んでも30km/hでキープしてくれます。子どもを守るためにもぜひ導入を!

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。