本来ならオプションとして別途費用がかかる装備を「標準装備」としてカタログ上に表記したとして消費者庁は2024年3月12日、メルセデスベンツ日本に景品表示法違反(優良誤認)による課徴金12億3097万円の納付を命じた。同法違反での最高額となった背景にはいったい何があったのか?
※本稿は2024年4月のものです
文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(トップ画像=OceanProd@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年5月10日号
■悪質な不正事案の数々……
メルセデスベンツ日本が12億3097万円の課徴金支払いを命じられたという。最初にこのニュースを聞いた時、ケタをふたつくらい間違えたのかと思った。国内における自動車関連の不正でここまで大きな罰則金額を見た記憶なし!
驚いて消費者庁のウェブサイトに行ってチェックしてみたら間違いじゃありませんでした。小さな不祥事には興味のない私ながら気になる。
どれだけ悪いことをやったんだろう? 消費者庁のサイトを読んでいくと、例えば「カタログに標準装備と記載されている装備なのに、実際はメーカーオプションを加えなければ付いていなかった」。
はたまた「スポーツコンフォートサスペンションと記載されているのにノーマルだった」とか「ドリルドベンチレーテッドディスクのはずがふつうのブレーキだった」。「AMGなのでスポーツサスペンションと記載されているのにスポーツコンフォートサスペンションだった」なんてのは完全にユーザーをナメている。
ハンドリングのいいクルマが欲しくてAMGを買うのに、ふつうのメルセデスと同じ“ちょっとスポーティな足回り”だったらどうよ? ADAS関係の装備は、アダプティブクルコン関係が多い。標準装備のはずがオプションを選ばないと付かない、などなど。
はたまたサングラスケースが付いていなかったみたいなショッパい不正もある。車種にもよるが、読み切れないほどたくさんの不正を行っていた。なんでこんなデタラメを行ったのか?
■コロナ禍で世界中が大混乱していた2020~2021年に発生
時期を見ると2020年初から2021年中頃までの間である。メルセデスベンツに対して忖度するなら、このあたり、新型コロナで世界中が大混乱していた。半導体不足も始まっており、これまた混乱中。
メルセデスベンツにかぎらず、ほかのインポーターも「本来なら付いている装備がないんです」とか「部品が到着次第装着します」みたいな状況だった。日本に到着したクルマの装備内容がカタログと違うことなど珍しくもなんともなかったワケです。
この状況にどう対処していたか? どこも正直に説明していましたね。もちろん値引きで対応したりして、金額の帳尻も合わせていた、と思う。
メルセデスベンツ日本は乗り手の素性がしっかりわかっているメディア向けの試乗会ですら、慣習のない免許証の提示を義務づけるほど原理主義。ユーザー対応も厳格にしていたと思ったら、内部はデタラメのユルユルだったワケです。
原理主義でなく利己主義だったようだ。ディーゼルゲートのVWといいメルセデスといい、ドイツのイメージを地に落とす。
■今回の課徴金対象車種は!?
・メルセデスベンツGLA200d 4MATIC、同AMGライン
・メルセデスベンツGLB200d、同AMGライン
・メルセデスベンツGLB250 4MATIC スポーツ
上に記したメルセデスベンツGLAクラスの2グレード、GLBクラスの3グレードについて、カタログ記載の装備と実際に納車された実車の装備が違っていた。
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